PCケースの内部にホコリやゴミが入りにくく(吸い込みにくく)する方法
本エントリーの目次
PCケースの内部は、たくさんのホコリやゴミで汚れていることがあります!
PCケース前面の吸気口にホコリが付いているのに気付いたときや、年末の大掃除の時期などに『PCケースの内部を掃除しよう!』と思うことがあります。
そしてPCケースの側板を開けてケースの内部を見たところ、たくさんのホコリやゴミがビッシリ!
吸気口の周辺だけではなく、吸排気ファンのブレード部やグラフィックボードのバックプレートの上。
PCケースの継ぎ目の部分など、あちらこちらにホコリやゴミが付着し、ひどく汚れていることがあります。
PCケースの内部は、キレイな状態としておくことが望ましいです!
PCケースの内部にホコリやゴミなどの汚れが付着していると、冷却性能の低下や動作音の増大。
そして最悪の場合、発火・火災発生の原因となってしまうため、掃除を行ってキレイな状態としておく必要があります。
すでにPCケースの内部にホコリやゴミなどの汚れが付着している場合には掃除を行い、ケース内部の汚れを取り除いてキレイな状態にしておくと良いでしょう。
綿棒やブロアー、エアダスターなどを使えば、内部の掃除がしやすいです。
ブロアー製品の例:
エアダスター製品の例:
ただしPCケース内部の掃除は、ブロアーやエアダスターを使ったとしても、時間や手間がかかります。
そこで今回は、PCケースの内部にホコリやゴミが入りにくく(吸い込みにくく)する方法をご紹介します!
内部にゴミが入りにくい状態であれば、内部が汚れにくくなり掃除の頻度を減らすことができる。
掃除をする際は汚れがあまりたまっていない状態であり、掃除が楽になるなど、メリットがたくさんあるので、ぜひ参考になさってください!
本題に入る前に、PCケースの内部にどうしてホコリやゴミなどの汚れが入ってしまうのか。
その原因について、ご紹介しておきましょう!
PCケースの内部に、ホコリやゴミなどの汚れが入ってしまう理由
PCの内部には、発熱するパーツが複数搭載されています。
それらの冷却のために、PCの内部には一つ以上のファンが搭載されています。※1
たとえばPCの中核部品であるCPUを冷やすために、以下のようなCPUファンが搭載されています。
また映像処理を担当するグラフィックボード(GPU)に、冷却用のファンが複数搭載されていることも。
現在市販されている一般的な製品の多くでは、冷却ファンの送風によってCPUやGPUを冷却。
その結果温まった空気は、PCケース内に放出・発散される仕組みとなっています。
ですがこれだけでは、PCケース内の空気の温度がどんどん上がってしまい、冷却効率が下がります。
それどころかマザーボードなど、送風による強制冷却機構を持たない他のパーツの温度も上がってしまい、破損の可能性が出てきます。
そこで現在のPC製品の多くでは、ケースの背面に排気ファン。
前面には吸気ファンを設置※2し、PCケース内外の空気を絶えず入れ替えることで、ケース内の空気の温度を一定に保つようにしています。
こういった仕組み上、PCケースは絶えずケース外の冷たい空気を吸い込み、そしてケース内の温まった空気を排出する。
という空気の流れを作っており、吸い込んだ空気にホコリやゴミが含まれていれば、それらも一緒に吸い込んでしまうのです。
そして一度ケース内に吸い込んだゴミや汚れは、ケース内でパーツの上に落ちてしまうと、排気と一緒に排出されにくくなります。
こういったメカニズムにより、ゴミがPCケース内に蓄積していく、というわけです。
※1 発熱量が少ない製品では、冷却ファンが一つも搭載されてないこともあります。これはファンレスモデルと呼ばれ、高い静音性を特長としています。
※2 排気ファンだけの搭載であり、吸気ファンが搭載されていないモデルも存在します。
PCケースの内部に、ホコリやゴミなどの汚れが入りにくく(吸い込みにくく)する方法
PCケースの内部に、ホコリやゴミなどの汚れが入りにくく(吸い込みにくく)する方法には、以下のようなものが挙げられます。
どれか一つだけを実践するのではなく、複数の方法を組み合わせて実施することをおすすめします!
PCの設置場所を変える
先に書いたとおり、PCケースの内部にホコリやゴミなどの汚れが蓄積してしまうのは、冷却の都合により汚れを含んだ空気を吸入。
そして空気中の汚れが、PCケース内に落ちて蓄積するからです。
そのためPCケースの周辺が汚れやすい場所であれば、PCの設置場所を変える(移動する)ことで、PCケースの中にゴミを含んだ空気を吸いにくくなります。
たとえばオフィスでは、シュレッダーの横にPCを設置しているのを見かけます。
ですがシュレッダーは紙を破砕する際、周囲に紙粉が舞いやすく、その近くにPCを置いていると、内部に紙粉が蓄積して汚れやすいです。
床に直置きしている場合は、机や台の上に移動!
PCを床に直置きしている場合には、机や台の上に移動することをおすすめします。
なかなか気付きにくいですが、床の上には見えにくいホコリやゴミがたくさん落ちています。
PCを床に直置きしている場合には、それらのゴミを吸いやすいため、机や台の上に移動しておくと良いでしょう。
もし適切な置き台などがない場合には、以下のような専用のPCスタンドの上に設置。
これにより、床から10cm前後の高さを確保するだけでも、かなりの効果を期待できます。
またメタルラックのパーツを使い、以下のような専用の置き台を作る方法も考えられます。
参考:メタルラックパーツで通気性良く移動できるPCスタンド(置台)を作る方法
特に巨大なPCケースを使用している場合には、適切なサイズの置き台を用意しにくいため、この方法がおすすめです。
PCの設置場所については、別途PCはどこに置くと良い?最適な置き場所は通気性が良く、キレイなところでくわしく書いています。
興味がある方は、ぜひ併せてご覧ください。
PCを設置している部屋でタバコを吸っている場合は、別の部屋で喫煙する
喫煙する方で、PCを設置している部屋でタバコを吸っている場合には、別の部屋での喫煙を強く推奨します。
または、PCの設置場所を別の部屋に変えることも検討ください。
参考:PCの静音の究極系かも!うるさいPCを隣の部屋に置いて静音化する方法
タバコの煙に含まれるヤニ成分には粘着性があるため、ホコリやゴミがくっつきやすくなります。
煙を吸気口からPCケース内に吸い込むと、ケース内部の各所にヤニ成分が付着。
これに空気中のゴミが付着するため、ケースの内部にゴミがたまりやすくなります。
しかも困ったことに、ヤニ成分によってホコリやゴミがこびりついているため、ブロアーやエアダスターを使ってもゴミが取り除きにくくなります。
さらにマザーボードなどに付着したヤニ成分は除去が困難※であり、新品に買い換えないかぎりは改善できません。
※マザーボードなどの電子機器は、洗剤を付けて水洗いすることはできないため。
給気口や吸気ファンにフィルターを設置する
PCのケース内部に、(ゴミやホコリなどの汚れを含んだ)空気を流入させるのは、大きな開口部(吸気口)や吸気ファンが設置されている場所です。
PCケース製品の中には、背面排気ファンのみ搭載というモデルも存在します。
こういったタイプのPCケースでは、背面排気ファンだけで空気の流れを作り、ケースの別の場所にある大きな開口部(吸気口)から空気を吸い込みます。
また吸気ファンを搭載しているモデルでは、吸気ファンの部分から空気を吸い込みます。
こういった空気の流入口となっている部分に、ゴミやホコリをキャッチする汚れフィルターを設置するのも効果的です。
12cmや14cmのファンなど、PCの内部で使われることが多いサイズ規格であれば、以下のようなフィルター製品が市販されているので利用を検討ください。
尚、フィルターを設置後は、ゴミがフィルターの網目にキャッチされるようになります。
キャッチされたゴミを長期間そのままにしておくと、ゴミが蓄積して吸入抵抗となり、冷却性能に悪影響を及ぼします。
そのため、定期的にフィルターにたまったゴミを掃除するようにしてください。
フィルターにたまったゴミは掃除機で吸い込めば簡単に取れるので、PCケースの内部に蓄積した汚れの掃除をするのに比べれば、手間はかかりません。
※フィルターの網目よりも小さいゴミは通過してしまうため、網目が小さい製品の方がゴミキャッチ能力は上がりますが、吸入抵抗が増大するので冷却性能は下がります。
PCケースの内部が正圧となるようにする
建築や空調設備関係の用語に、正圧と負圧という言葉があります。
正圧とは、ある部屋の圧力が大気圧(またはその周囲の圧力)よりも高い状態を。
そして負圧とは、ある部屋の圧力が大気圧(またはその周囲の圧力)よりも低い状態を示します。
ある部屋が正圧の場合には、内部の圧力が周囲よりも高い状態のため、空気が部屋の内部から周囲に向かって流出します。
対して負圧の場合では、内部の圧力が周囲よりも低い状態のため、周囲から部屋の内部に向かって空気が流入します。
これらの特性を利用し、半導体の工場のクリーンルームや無菌室など、外部から汚れた空気を流入させたくない場所は正圧に。
そしてトイレなど、悪臭を外部に流出させたくない場所は負圧になるように設計、空調設備を設置します。
PCケースの内部も部屋のようにとらえることができ、PCケースの内部にホコリやゴミが入りにくく(吸い込みにくく)したい。
つまり外部から汚れた空気を流入させたくないわけですから、正圧になるようにしておくと良いのです。
PCケースの内部を正圧とする場合は、吸気過多にすれば良い!
正圧は吸気過多(排気よりも吸気の方が多い状態)、負圧は排気過多(吸気よりも排気の方が多い状態)とすることで実現できます。
したがってPCケースの内部が正圧となるようにしたい場合には、以下のような方法を組み合わせ、吸気過多の状態としてください。
- 排気ファンの設置数 < 吸気ファンの設置数とする
- 排気ファンのサイズ < 吸気ファンのサイズとする
- 排気ファンの回転数 < 吸気ファンの回転数とする
ファンの回転数制御(回転数の上下)については、ASUSさんのQ-FAN Control機能など、BIOS(UEFI BIOS)に搭載されている機能を利用する。
または、以下製品のようなファンコン(ファンコントローラー)製品を使用することで対応可能です。
ファンの個数を増やしたい場合には、以下のような分岐ケーブルを使う方法が考えられます。
個人的には、ファンの増設と回転数制御が同時にできるCorsairさんのCommander PROが一番おすすめです。
iCUEという専用ソフトウェアを使えば、WindowsのGUI操作により回転数制御ができるため、とっても便利です。
また対応するファン製品を使えば、ファンのLED点灯の制御も可能です。
参考:PC用ファンの性能指標の解説と、PWM対応でおすすめの12cmファンと14cmファン
ただし制御ユニット(Commander PRO)だけで約1万円と、かなり高価なのが難点でしょうか。
正圧でも負圧でも、吸気しているからゴミを吸ってしまうのでは?
PCケースの内部にホコリやゴミが入りにくく(吸い込みにくく)したいなら、PCケースの内部を正圧(吸気過多)にすると良い。
と言われても、『正圧でも負圧でも、吸気しているからゴミを吸ってしまうのでは?』と思われるかもしれません。
たしかにそのとおりです。
PCの内部パーツを冷却しなければならない都合上、ケース内外の空気の入れ換えは必須であり、吸気も絶対に必要です。
しかし正圧と負圧では、大きく異なる点があります。
それは吸入口をコントロールできることです。
負圧の場合には排気過多であり、PCケース内部の気圧が低い状態です。
そのため、事前に想定していた(フィルター設置済みの)吸気口以外の場所からも、空気を吸い込んでしまいます。
それこそPCケースに空いている小さなビス穴や、側板のスライド部にある小さな隙間など。
PCケースの各所にある、あらゆる大小の隙間から空気を吸い込んでしまうのです。
そしてそういった隙間にはフィルターが設置されていないため、空気と一緒にホコリやゴミ類も吸い込んでしまい、ケースの内部に汚れがたまってしまうのです。
これに対してケース内が正圧(吸気過多)であれば、負圧の場合とは反対に排気口のみならず、PCケースの各所にある、あらゆる大小の隙間から空気を排気します。
したがってそういった隙間からは、ゴミが入りづらくなるのです。
だから吸入口を事前に想定していたフィルター設置済みの吸気口だけに限定(コントロール)できる、というわけです。
フィルター設置済みの吸気口からの吸気のみであれば、ゴミはフィルターでキャッチできるため、PCケースの内部にホコリやゴミが入りにくく(吸い込みにくく)なるのです。
参考までに、はるるが現在使っているPCケースの一つ、Obsidian Series 1000D CS7326 CC-9011148-WWでは、ケース内に大きな隙間(2mm ✕ 300mm以上の隙間)が複数あります。
ですが正圧状態となるようにファンを制御しているため、ケースの内部にはほとんどゴミがたまりません。
ケース前面に吸気用の12cmファンを16個(水冷用480mmラジエター2個をサンドファン設置)、天板部に排気用の14cmファンを3個。
ケース背面に排気用の12cmファンを2個設置し、3機のCommander PROとマザーボードのケースファン制御機能で、回転数を制御して正圧状態としています。
ネット上では、PCケースの内部を正圧とすると負圧状態に比べて若干冷却効果が劣る、という調査結果が見られます。
これについては私の環境で計測しても、同様の結果が出ていることから、そのとおりだと感じています。
ですが吸気ファンと排気ファンを両方設置し、十分な換気量を得られている場合には、その差は誤差レベルのものでした。
そのため、内部が汚れにくくなる利便性を優先した方が良いと考えており、PCケースの内部を正圧状態とすることをおすすめしています。
以上、参考になさってくださーい!