距離や時間、情報量(バイト)などを、Excelの数式で単位変換(換算)する方法
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距離や時間、情報量(バイト)などの数値を、別の単位に変換(換算)したい!
本を読んでいるときやテレビの報道番組を見ているときなどに、あまり使い慣れていない単位で表現された数値を見聞きすることがあります。
たとえば、『自国の領海基線の外側200海里の範囲は排他的経済水域であり…』というような文章では、『海里』という単位が使われています。
この『海里』という単位、文脈から長さ・距離を表す単位であることはなんとなく分かる。
でも1海里が具体的には何mなのか分からないので、外側200海里の範囲の広さ・距離のスケール感がつかめない、実感がわかない、という方は少なくないでしょう。
私自身もこういった文章を読んだ際は、『う~ん、1海里ってどれくらいの長さなんだろう…。』と感じてしまいます。
そこでこのブログでは、以前にGoogle検索の機能を使った単位換算の方法をご紹介しています。
参考:簡単に単位換算!圧力や体積、面積、重量などを別の単位に換算する方法
Google検索の機能を使った単位換算の方法は、ある単位で表されている単一の数値を、別の単位に換算可能です。
ただしこの方法では、ある単位で表されている複数の数値を、別の単位に換算する場合、何度も換算作業を行わないとならず、手間がかかります。
またGoogle検索の機能を使っている都合上、インターネットへの接続ができない環境では利用不可、という弱点もあります。
複数の数値を別の単位に換算する場合には、Excelの機能(数式)を使った単位変換がおすすめです。
この方法であれば、インターネット接続がない環境でも利用できる、というメリットもあります。
そこで今回は、Excelの機能を使って距離や時間、情報量(バイト)などの数値を、別の単位で表された数値に変換(換算)する方法をご紹介します!
Excelの機能を使ってある数値を、別の単位で表された数値に変換(換算)する方法
Excelを使って数値を別の単位で表された数値に変換(換算)する場合、『CONVERT』関数を使用します。
『CONVERT』関数は、『=CONVERT(数値,変換前単位,変換後単位)』という構文で利用する関数です。
数値には変換元の数値か、変換元の数値が入力されているセルへの参照を指定します。
たとえばA1セルに入力されている数値を変換元としたいときはA1を指定する、というわけです。
また変換前単位と変換後単位には、単位を表す特殊な文字列を指定します。
この文字列は、重さの単位であるグラムであれば『g』、距離を表す単位であるメートルであれば『m』といった文字列となります。
そして『CONVERT』関数を使った数式を入力していく過程で、変換前単位と変換後単位に指定可能な特殊文字列は、以下のように候補が表示される仕組みとなっています。
そのため、単位を表す特殊な文字列は覚えておく必要はありません。
たとえばA1セルに入力されている『300』が距離を表すヤード単位であり、これをメートル単位に変換・換算したい場合には、以下のような数式を入力してください。
そして入力した数式を確定すると、300ヤードは274.32mであることが分かりました。
ゴルフの世界では、ボールを300ヤード以上飛ばすことができるとスゴイそうです。
これはつまり、ボールを274.32m以上飛ばすことができるとスゴイ、ということですね。
ある単位で表されている複数の値を別の単位で表された値に変換したい場合には、『CONVERT』関数を使った数式をオートフィルで各セルに展開することで、簡単に変換可能です。
単位を表す特殊な文字列には、接頭辞と2進接頭辞も使用可能です!
現在広く一般に使用されている数値の中には、大きなものや小さなものがあります。
そこで数値を分かりやすく表現するために、単位の前に接頭辞※を付けるケースが少なくないでしょう。
※SI接頭辞と呼ばれています。
たとえば長さ・距離を表すメートル(m)という単位では、m記号の前に以下の接頭辞を付けることがありますよね。
- センチ(c):1/100
- ミリ(m):1/1000
- キロ(k):1000倍
1センチメートル(cm)は、1メートル(m)の1/100の長さということです。
そして『CONVERT』関数ではセンチやミリ、キロなどの接頭辞を使用可能であり、1cmが何mかは以下数式で換算可能です。
1 | =CONVERT(1,"cm","m") |
通常の接頭辞は、以下のように10の累乗倍の数であることを示します。
- P(ペタ) → 1015
- T(テラ) → 1012
- G(ギガ) → 109
- M(メガ) → 106
- k(キロ) → 103
- h(ヘクト) → 102
- da(デカ) → 101
- d(デシ) → 10-1
- c(センチ) → 10-2
- m(ミリ) → 10-3
- µ(マイクロ) → 10-6
- n(ナノ) → 10-9
- p(ピコ) → 10-12
- f(フェムト) → 10-15
※上記接頭辞は一般的な記号・記法であり、Excelの『CONVERT』関数で使用可能な接頭辞とは一部異なるものがあります。
つまりk(キロ)=1000となります。
ところが情報量を扱うケースでは以下のように、210(1024)の塁乗倍による倍数計算の結果を示すのが一般的でしょう。
- T(テラ) → 10244
- G(ギガ) → 10243
- M(メガ) → 10242
- K(キロ) → 10241
キロ=1000というわけではなく1024として扱う、というわけです。
Excelの『CONVERT』関数では、接頭辞は10の累乗倍の数として評価されます。
したがって情報量を扱うケースでは、想定していた値と異なる計算結果(キロ = 1024ではなく1000で計算された結果)になってしまうでしょう。
そこで、Excelの『CONVERT』関数で情報量を扱う場合には、210(1024)の塁乗倍であることを示す、以下のような2進接頭辞を使用してください。
- Ti(テビ) → 10244
- Gi(ギビ) → 10243
- Mi(メビ) → 10242
- ki(キビ) → 10241
たとえば1573741824バイトが何GB(厳密にはGiB)であるかを調べたいときは、以下数式を使用すると良いでしょう。
1 | =CONVERT(1573741824,"byte","Gibyte") |
この数式の計算によると、1573741824バイトは1.465…GB(厳密には1.465…GiB)であることが分かります。
ちなみにこのキロを1000(10の累乗倍の数)と扱うか、1024(210、つまり1024の塁乗倍)として扱うかの違いは、HDDやSSDの保存容量が、PCの画面上で見た数値とカタログ表記の数値とで異なる原因にもなっています。
参考:HDDやSSDの保存容量が、PCの画面上で見るとカタログ表記より少ない理由
その他、『CONVERT』関数で使用可能な単位を表す特殊な文字列については、以下Microsoftさんの解説ページを参照ください。
Excelの『CONVERT』関数を使った数値変換のサンプル
参考までに、Excelの『CONVERT』関数を使った数値変換のサンプルをいくつかご紹介しましょう。
尚、これからご紹介するサンプルでは、すべてA1セルに入力されている値を別の単位に換算する前提の数式をご紹介しています。
ミリメートルをメートルに変換する例
家具のサイズはミリメートル単位で表記されていることが多いです。
ただしミリメートルだとサイズ感が分かりにくいため、メートル単位に変換したいことがありますよね。
ミリメートルをメートルに変換する場合は、以下のような数式を使用します。
1 | =CONVERT(A1,"mm","m") |
日数を秒数に変換する例
日数を秒数に変換する場合は、以下のような数式を使用してください。
1 | =CONVERT(A1,"day","s") |
参考までに1日は86400秒です。
時間を日数に変換する例
時間を日数に変換する場合は、以下のような数式を使用してください。
1 | =CONVERT(A1,"hr","day") |
難関の資格試験の合格には、6000時間以上の勉強が必要である。
なんて話を聞くことがありますが、これを上記数式を使って日数に変換すると250日でした。
休憩をせずに勉強したと仮定して250日間の勉強が必要ということですから、とても大変なんだな、ということが分かりますね。
年数を日数に変換する例
年数を日数に変換する場合は、以下のような数式を使用します。
1 | =CONVERT(A1,"yr","day") |
尚、Excelの『CONVERT』関数を使って1年の日数を計算すると、計算結果は365.25となります。
365でも、うるう日(2月29日)を含んだ366でもありません。
これはおそらくは、うるう日が4年に1回であるためでしょう。
4年間で平均年間日数を計算すると、365.25となります。
華氏温度(°F)を、摂氏温度(°C)に変換する例
アメリカなどの一部の国では、温度の単位に華氏(°F)を使用しています。
これを摂氏温度(°C)に換算する場合には、以下の数式を利用すると良いでしょう。
1 | =CONVERT(A1,"F","C") |
バレル(原油の量を表す単位)を、リットルに変換する例
ニュースを見ていると、原油の量を表すバレルという単位を聞くことがあります。
これをリットルに変換する数式は、以下のとおりです。
1 | =CONVERT(A1,"barrel","l") |
ちなみに1バレルは158.987…リットルです。
時速(km/h)を、秒速(m/s)に変換する例
高速道路の制限速度は、時速100km(100km/h)であるところが多いです。
そして時速100kmで走行していると、1秒間に何メートルの距離を車が進むのか、気になることがありますよね。
時速(km/h)を、秒速(m/s)に変換する場合は、以下数式を使用してください。
1 | =CONVERT(A1,"km/h","m/s") |
この数式で計算したところ、100km/h ≒ 27.8m/sでした。
そのため、時速100kmで走行している車は1秒間に約27.8m進むようです。
海里をキロメートルに変換する例
冒頭に例示した海里は、以下数式によりキロメートル単位の数値に変換できます。
1 | =CONVERT(A1,"Nmi","km") |
この数式の計算結果によると、200海里は370.4kmとのことです。
以上、参考になさってくださーい!