ノートPCのバッテリーを長持ちさせ、寿命を長くする方法
2018/04/25
本エントリーの目次
はるるは仕事柄サーバーや法人向けPC、ネットワーク機材を扱うことが多いです。
また自作PCが好きなこともあり、友人やその知り合いの方、職場の同僚からPCに関する質問や相談をいただくことも。
その中でもよく質問・相談をいただくのが、ノートPC(ノートパソコン)のバッテリーについて。
そこで今回は、このノートPCのバッテリーについて、なるべく長持ちさせる方法(寿命を長くできるであろう方法・使い方)をご紹介します!
ノートPCなのに、コンセントを外すと電源が切れてしまう!
先ほどノートPCのバッテリーについて頻繁に質問や相談を受ける、と書きましたが、その中でも圧倒的に多いのがこれです。
たとえばノートPCなのに、コンセントを抜いて持ち歩こうとすると、すぐに電源が切れてしまってPCが強制終了してしまう、だとか。
外出先のカフェでノートPCを使って作業をしようとしたのに、ノートPCの電源が入らない!?といった内容ですね。
つまりバッテリーを搭載しており、電源を接続しない状態でも使えるはずのノートPCなのに、電源を接続していない状態ではノートPCを起動できない。
またはたとえ起動したとしても、使用開始後すぐにバッテリー切れで電源が切れてしまう状況というわけ。
そしてこの状態をなんとかしてほしい!という相談なんですが、残念なことにこの状態となってしまったバッテリーを修復するのは難しいのです。
それはなぜかというと。
バッテリーの寿命による充放電性能の低下は修復できない!
上記のような症状が出ている場合、その原因のほとんどは、バッテリーの寿命が来てしまったことによる充放電性能の低下です。
このバッテリーの充放電性能の低下により、電源をノートPCに接続しても十分な充電ができない。
また十分な充電が行われないので、ノートPCの起動・動作状態の維持に必要な電力をバッテリーが放電・供給できず、ノートPCの起動不可や突然の電源断が起こるのです。
そしてこのバッテリーの寿命による充放電性能の低下が起きてしまったバッテリーを修理・修復することは、基本的にはできません。
そのためバッテリーの寿命が来てしまった場合には、バッテリーを別の新品のものや寿命が来ていない中古品に交換するよりほかありません。
※ニッケル水素電池(= Ni-MH 詳細は後述)の場合では、完全放電してからのフル充電を数回繰り返すことで、充放電性能を改善することができる場合もありますが、新品当時の性能に戻すことはできません。
バッテリーは消耗品です!
ノートPCのバッテリーにかぎらず、スマホのバッテリーや市販の充電池など、電気を充放電できる機材では共通して、充放電を繰り返すと徐々に充放電性能の低下が起こります。
これは充電池の素材により程度の差はあるものの、共通してどの充電池でも起こる事象です。
そのためバッテリーは消耗品であると考えていただいて間違いはありません。
そして一般的には、この充放電性能の低下により、バッテリーを搭載している機材を十分に動作させることができなくなった状態のことを、『バッテリーの寿命が来た』と表現することが多いでしょう。
バッテリーは消耗品であり徐々に性能が低下するため、いつかは交換しなければいけません。
ただ使い方次第ではバッテリーの寿命をのばすことができ、それにより交換時期を先送りにすることは可能です。
バッテリーの寿命は使い方次第で大きく変わる!
ノートPCなどに搭載されているバッテリー製品の寿命は、メーカーさんのマニュアルなどを見ると2~3年で寿命となるような旨、記載されているのを見かけたことがあります。
ですがこれは正しい使い方をした場合の話であって、誤った使い方をすれば1年。
状況によっては半年程度でダメになってしまうこともあるんです!
そしてノートPCのバッテリーが購入後短期間のうちにダメになってしまう(寿命を迎えてしまう)一番の理由がこちら。
ノートPCに常に電源を接続して使っている
現在のノートPCやスマホに搭載されているバッテリーの多くは、リチウムイオン電池、またはニッケル水素電池です。
リチウムイオン電池では『Li-ion』、ニッケル水素電池では『Ni-MH』とバッテリーの表面に記載されていることから、この文字を見かけたことがある!
という方も多いんじゃないでしょうか。
これらのバッテリーに共通する特性・弱点に、『頻繁な(こまめな)充放電を繰り返すとバッテリーが劣化、性能が低下する』というものが挙げられます。
そしてノートPCやスマホの場合、常に電源を接続している状態では、満充電になれば自動的に充電が停止するものの、バッテリーの電力を使って駆動して少しバッテリー残量が減ると、再度コンセントからの電源による動作に切り替わり、充電が開始されてしまうのです。
つまりノートPCやスマホに電源を接続し続けている状態は、こまめな充放電が何度も繰り返されてしまうため、バッテリーの早期劣化につながる、というわけ。
特にノートPCを省スペースな据え置き型PCとして使っている場合、常に電源を接続している方が多いと思います。
実はこのパターンにより早期にバッテリーの寿命が来てしまうケースが多く、はるるに相談された事例の多くでは、これが原因だったりします。
普段は持ち運ばずに据え置いて使っているため、電源をノートPCに常に接続していて気付かなかったが、ある時持ち運ぶ必要が出てしまい、その時にバッテリーの寿命が来ていることに気付いた、という具合です。
そのためたとえ据え置き型PCとして使っている場合であっても、充電が十分な状態であれば電源を抜いてバッテリー駆動させ、充電が減ってきたら再度電源を接続して充電する。
という使い方が、バッテリーの寿命を伸ばす観点ではおすすめです。
またバッテリーを外せる機種の場合、バッテリーを外した状態で駆動できるのであれば、バッテリーを外した状態で駆動させることで、こまめな充放電によるバッテリーの劣化を防ぐことが可能です。
ただ一部の機種では、バッテリーを外した状態で動作させた場合、CPUのクロックダウンなど、性能がセーブされるような制御がかかる機種もあるようなので、ご注意ください。(たとえば以下はLenovoさんの例。)
バッテリーが装着されていないと CPU のクロック速度が低下する – ThinkPad
症状
バッテリーを本体に装着していない場合、CPUのクロック速度が低下します。中略
対策
バッテリーを装着せず 65W AC アダプターで電源供給している場合、予期せぬシャットダウンを防止するため CPU クロック速度が低下する場合があります。
このような状況下で、最大周波数での稼働を希望される場合は、90W ACアダプターをご利用ください。
ちなみにバッテリーを取り外して保管しておく場合には、残量を50%程度にし、涼しくて直射日光があたらない場所(冷暗所)に保管しておくと、経年によるバッテリーの劣化を最小限に抑えられます。
さらに多くの機種では、電源接続状態とバッテリーによる駆動状態では、ノートPCの性能に違いが出ることが多いです。
これはバッテリー動作時には、ノートPCの性能やディスプレイ輝度を意図的に下げることにより、バッテリーを長持ちさせるためのもので、Windows OSや専用のアプリケーションソフトウェア(メーカー製PCではこのパターンも多い)により行われています。
したがって高い処理性能を必要とする場合には、電源を接続して作業を行うことをおすすめします。
バッテリーのタイプによっては残量0%・満充電はNGです!
バッテリーのタイプ(構造・方式)によっては、満充電することはバッテリーの劣化につながるため、行わない方が良いものも。
具体的には、ニッケル水素電池(Ni-MH)では満充電は問題ありませんが、リチウムイオン電池(Li-ion)では80%程度の容量で充電をやめた方が、バッテリーの劣化を防いで長持ちさせられる、と言われています。
さらにリチウムイオン電池(Li-ion)では残量0%まで使い切るのも良くないとされており、残量20%程度で充電を行った方が良いとも言われています。
そのため一部のメーカーさんのノートPCでは、充電を最大80%までに制限するソフトウェアや機能を搭載している機種もあります。
お使いのノートPCがこういった機能を搭載しているのであれば、ぜひ利用されると良いでしょう!
ただこの機能を有効にした場合、80%までしか充電してくれないために、外出時にバッテリーによる駆動時間が短くなってしまいます。
したがって外出の前日には、一度機能を無効にして100%まで充電しておくと安心です。
ニッケル水素電池(Ni-MH)では使いきってからの充電の方が良い!
ニッケル水素電池(Ni-MH)では使いきらずに充電を繰り返すと、メモリー効果と呼ばれる現象が発生し、バッテリーの劣化が早く進んでしまう場合があります。
メモリー効果とは、充電された電気を使いきらずに充電を繰り返すことで、まだ容量が残っているにもかかわらず、本来の電圧よりも低い電圧しか供給できなくなる現象のこと。
詳しくはPanasonicさんのwebサイトに記載されていたので、以下に引用します。
メモリー効果(メモリー現象)とは、ニカド充電池、ニッケル水素充電池で起こる現象で、使い方によって容量が残っているにもかかわらず電池の電圧が通常よりも低くなる現象のことです。
具体的には、電池容量が十分に残った状態でつぎ足し充電を何度もくり返すことで、電池が「短時間だけ使用」を記憶することによって、次に使用した時、電池容量が十分にあるにもかかわらず、電池電圧が少し低めになる現象です。
ライト類や電動のおもちゃなどでは影響はありませんが、特にデジタルカメラのような機器で停止する電圧(機器が電池切れと判断して動作を停止する電池の電圧)の設定※によっては、このメモリー効果が影響し使用できる時間が短くなるなどの現象として現れます。
メモリー効果は2~3回程度の途中までの放電ではほとんど影響はありません。
また、現在主流のニッケル水素充電池は、ニカド充電池に比べて電圧が低めになる程度は少なく、ほとんど影響なくご使用できます。※ 機器により多少違いがあります。
というわけで、ニカド充電池やニッケル水素電池(Ni-MH)ではしっかりと使いきってから充電すると良いでしょう。
ただ上記引用にも書いてあるとおり、現在主流のニッケル水素充電池ではメモリー効果が起きにくいため、あまり気にしなくても良いそうです。
バッテリーを正しく使って長持ちさせよう!
今回ご紹介したように、現在のノートPCやスマホに使われているバッテリー製品では、その種類によって正しい使い方が異なります。
そのためこの機会に、使用中の機器に搭載されているバッテリーの種類やその正しい使い方を確認してみてはどうでしょうか。
正しい使い方をすればバッテリーの寿命を伸ばし、長持ちさせられるはずなので、ぜひ確認してみてくださーい!
補足:その他ノートPCなどのバッテリーに関する注意点
その他ノートPCのバッテリーに関して、いくつか注意点があるので併せてご紹介します。
バッテリーが簡単に取り外しできないノートPCもあります!
ノートPC製品の中には、バッテリーを自分で簡単に脱着できる機構がなく、ケース内部に内蔵されており、バッテリーの取り外しが不可のタイプもあります。
このタイプの製品では、据え置き型PCとしてノートPCを使うことが多い場合の、『バッテリーの寿命を長持ちさせるためのバッテリーを外した状態での運用』を行うことはできません。
したがってこういった使い方をしたい場合には、PCの購入者自身が簡単にバッテリーを脱着できるような機構が搭載されている機種を購入する必要があります。
特に軽量・薄型・コンパクトを追求した最近のモデルでは、小型化のために脱着機構を廃している機種も多いのでご注意ください。
バッテリー内蔵型のモデルの場合、交換修理に時間がかかる!
バッテリーの脱着機構が付いているノートPCであれば、バッテリーを新規に購入し、自分で交換すればすぐに使えます。
ところがバッテリー内蔵型のモデルではこうはいきません。
バッテリー内蔵型のノートPCの場合、バッテリー交換は基本的にはメーカーに機材一式を送付しての、交換修理対応となります。
これはバッテリー交換作業のために機材内部を開ける際に、作業者(PCの購入者)が他のパーツを壊してしまった、といった問題を避けるための当然の対応です。
ただこの場合のポイントとして、メーカーの修理交換対応には、早くても数日。
場合によっては、3週間から1か月程度の期間を要し、その間はノートPCを一切使えません。
この点はバッテリーの着脱が可能なモデルに比べたバッテリー内蔵型モデルの弱点と言えます。
さらにノートPCではあまり聞きませんが、バッテリー内蔵型のタブレットPCなどの一部のモデルでは、バッテリーの交換不可(メーカーも対応していない)の製品も存在します。
こういったモデルでは、バッテリーの劣化が著しく進んだ場合には、本体一式を買い換えるほかありません。
つまりバッテリーの寿命 = その機材の寿命となってしまうため、バッテリーを正しく使い寿命をできるかぎりのばすことが特に重要でしょう。
中古バッテリーの購入はリスクあり!
通販サイトやネットオークションなどで中古のバッテリーが売られているの見かけることがありますが、中古バッテリーの購入はあまりおすすめできません。
これはバッテリーの劣化がどれくらい進んでいるのかが分からないためで、運が悪ければ寿命が近いバッテリーが送られてきてしまう可能性もゼロではありません。
ですがそのリスクと引き換えに格安で手に入ることもあるので、一概にダメとは言えない面もあり、難しいところではあるんですが…。
というわけで特段の理由がなければよほど安くないかぎり、中古のバッテリーは買わない方が無難なんじゃないでしょうか。
以上、参考になれば幸いです!