圧力鍋の急冷って何?自然冷却との違いは?どうやって急冷するの?
2018/04/26
圧力鍋を使いはじめたばかりのときにレシピ本やレシピサイトを見ていると、こんなふうに思うことがあるかもしれません。
急冷って何?
圧力鍋を使った料理のレシピが掲載されている本やサイトの料理手順を見ていると、『急冷』という言葉が結構な頻度で登場します。
たとえば以下は、圧力鍋の有名メーカーであるフィスラーさんの、圧力鍋を使ったおでんのレシピの一部。(参考:Amazon – フィスラーの圧力鍋製品)
調理時間 高圧3分 + 高圧10分 急冷
中略
圧力鍋に大根、じゃがいも、にんじん、昆布、煮汁の材料をいれ、フタを閉め10分加圧し、急冷する。
上記レシピに記載されているとおり、『調理時間 高圧3分 + 高圧10分 急冷』。
または『フタを閉め10分加圧し、急冷する』といった感じで使われる言葉なんですが、圧力鍋を使いはじめたばかりの方の場合、この急冷って何?と感じる方もいらっしゃるでしょう。
急冷と書いてあるので、おそらくは『急いで冷やして!』
というような意味だろうことは、なんとなく想像がつくと思います。
ですがどうして急冷しなければいけないのか。
具体的にはどうやって急冷すれば良いのか、その方法が分からない…。
なんて困ってしまうかもしれません。
そこで今回は、圧力鍋の急冷とは何なのか。
そしてどうやって急冷をするのか、その方法についてご紹介します!
圧力鍋の冷却方法は大きくは2つ!
現在市販されている圧力鍋の冷却方法は大きく分けると2つあり、一つは自然冷却。
そしてもう一つは急速冷却です。
自然冷却(放置・自然放置)
圧力鍋の冷却方法の一つである自然冷却は、鍋の加熱を行っているガスコンロの火を止めてから、そのまま放置。
そして鍋が自然に冷えるまで待つ、という冷却方法です。
圧力鍋のレシピでは、自然冷却を使った冷却を指示する場合、以下のように『火を止め自然放置』といったように表現されていることが多いですね。
調理時間 加圧:3分、加圧終了後:自然放置
中略
3分加圧し、火を止め自然放置する。
また食材を蒸らす効果もあるため、蒸らし調理と表記されているケースもあります。
普通の鍋を使ったときと比べた圧力鍋を使った調理のメリットには、節約・手間いらず・時短などが挙げられます。
このうち時短は、主に圧力鍋の加圧により100℃以上の温度で調理できることにより発生するものです。※
参考:圧力鍋を使うと短時間でおいしい料理ができるのでおすすめ!
そして節約と手間いらずのメリットは、自然冷却(放置)によりもたらされます。
※高温調理により短時間で調理ができることから、加熱時間・ガス消費量が減り、節約効果も発生しています。
圧力鍋は加熱を止めても加圧調理を継続します!
圧力鍋を使ったことがある方ならご存知だと思いますが、加熱により鍋の中が加圧状態となると、重りが上がるなど加圧中であることを示す何らかのアクションが発生。
そしてレシピの手順のとおりに放置、自然冷却を行うと、しばらく経ってから重りが自然に下がります。
重りが下がるなど、鍋の中が加圧状態でなくなったことを示すアクションがあれば、鍋の中の圧力は下がっているので、フタを安全に開けることができます。
これらの事実から分かるとおり、圧力鍋を使った加熱調理では、火を止めて加熱を止めた後も、余熱調理に加え鍋の中の圧力が下がるまでは加圧調理が継続するのです。
だから普通の鍋に比べて短い時間で鍋の加熱を止めても、余熱と加圧により調理が継続。
これにより、少ないガスの消費量で調理を実現します。(節約のメリット)
また火を止めた後は、ガスコンロの上に圧力鍋を置いたまま放置でOK!
そのためコンロの前に立って火加減を調整したり、火事防止のために待っている必要もありません!(手間いらずのメリット)
※小さいお子さんがいらっしゃるご家庭では、誤って取っ手をつかんで鍋をひっくり返してしまうおそれがあるので、鍋から目を離さない方が良いでしょう。
尚、自然冷却で鍋の中の圧力が下がるまでに要する時間は、室内の温度によって大きく異なります。
室内の温度が低い冬場は、夏に比べてかなり早くおもりが下がるなどのアクションが起こるはずです。
急速冷却(急冷)
圧力鍋で加熱調理を行い、その後自然冷却を行った場合、火を止めて加熱を止めた後も、余熱調理に加え鍋の中の圧力が下がるまでは加圧調理が継続する。
というのはさきに書いたとおりです。
ただ、この加熱終了後の余熱・加圧調理が不要な場合も少なくありません。
たとえばスパゲティや乾麺などの麺類を茹でるのに圧力鍋を使う※1場合、加熱終了後に自然冷却(放置)で圧力鍋の圧力が下がり、フタを開けられるようになるのを待っていたら、麺がのびてしまいますよね。
また火が通りやすい食材は加熱・加圧しすぎると煮崩れしたり、完全に煮汁に溶け込んでなくなってしまうこともあります。(肉じゃがのじゃがいもが、煮崩れしてなくなってしまうなど。)
そのためあらかじめ決めておいた加熱・加圧時間が経過したら、火を止めてただちに加圧を止める必要があるのです。
こういった加熱・加圧のしすぎを防ぐために、加熱・加圧調理をすぐに止めたい場合。
あるいは食材を追加投入して再加圧※2するなど、すぐに圧力鍋のフタを開けたい場合に、急速冷却(急冷)を行います。
したがって圧力鍋の急冷には、文字通り急速に冷やしてただちに加熱を止める効果と、急速に冷やすことで鍋の中の圧力を下げ、ただちに加圧を止める効果。
そして加圧状態が解除されることですぐにフタを開けられるようになる、という3つの効果があるわけです。
冒頭にご紹介したおでんのレシピでは、大根やじゃがいもを入れて加圧していました。
これら具材に火が通りすぎて煮崩れしたり、煮汁に溶け込んでなくなってしまうのを防ぐために急冷していたのでしょう。
※1 標準茹で時間よりも短い時間で茹で上がります。
※2 火が通りにくい食材を先に加熱・加圧後、火が通りやすい食材を投入して再度加圧するなど。
圧力鍋の急冷の方法
圧力鍋の急冷の方法には、たとえば圧力調整装置を操作する方法と水をかける方法が挙げられます。
本エントリーではこの2つの急冷方法について説明していますが、製品によって使用すべき急冷方法・手順などが異なります。
誤った方法・手順で圧力鍋の急冷を行うと、鍋が変形したりフタが外れてヤケドをするなどの危険性があります。
そのため実際に急冷を行う際は、必ず事前に使用している製品の説明書を読み、使用すべき急冷方法やその手順を調べてから行ってください。
圧力調整装置を操作して圧力鍋を急冷する方法
圧力鍋製品には、圧力を調整するためのセレクターやレバー、おもりなどの調整装置が搭載されています。
この圧力調整装置に蒸気を排出して圧力を下げる機能が搭載されていることが多く、調整装置を操作してこの機能を使用すれば、鍋の中の圧力を下げて急冷可能です。
たとえばはるるが現在使用しているティファールさんの圧力鍋、クリプソ ミニット イージーの場合、鍋の上部にあるセレクター(圧力調整おもり)で行います。
そしてセレクターを『蒸気の排出』モードにセットすれば、ただちに蒸気が排出されて圧力が下がり、急冷されます。
この手順について、クリプソ ミニット イージーの説明書では以下のように書いています。
セレクターを回し、(蒸気排出)マークを圧力ぶたの目印位置にゆっくり合わせて蒸気を排出し、圧力を下げる。
ノズルから高温の蒸気が勢いよく排出されますので十分にご主意ください。
蒸気排出の際、ノズルに固くしぼったぬれぶきんを軽くかぶせると、万一、煮汁が吹き出した場合にも安心です。(ティファール – クリプソ ミニット イージーの取扱説明書より引用)
この方法は実際にやってみると分かりますが、セレクターを操作して蒸気の排出を始めると、かなりの勢いで高温の蒸気が蒸気排出口から噴出します。
そのため上記説明書記載のとおり、『ノズルに固くしぼったぬれぶきんを軽くかぶせると、万一、煮汁が吹き出した場合にも安心』でしょう。
ただしはるるは、個人的にはこの方法が好きではなく、一切使っていません。
これはなぜかと言うと、煮汁が吹き出したときに鍋の周囲(ガスコンロや調理台、耐火壁面など)を汚したり、かぶせておいた濡れ布巾に煮汁が付いて汚れてしまうからです。
また熱い蒸気がすごい勢いで吹き出すので、正しい手順で行っていても、ちょっとしたミスでヤケドしてしまうかもしれないのが不安。
という理由もあります。
水をかけて圧力鍋を急冷する方法
現在では、とてもたくさんの圧力鍋製品が販売されています。
ですが、食材を入れた密閉状態の鍋を加熱することで内部を加圧する、という基本的な原理はどれも同じ。
そして温度を下げれば内部の圧力が下がるのも、圧力鍋製品に共通した特長です。
したがって多くの圧力鍋製品では、鍋に水を1分程度かけて温度を下げることで減圧・急冷が可能です。
ただし急冷するために水をかけても良い場所は、製品ごとに異なるので要注意。
圧力鍋のフタの部分に水をかけて急冷する製品が多いですが、クリプソ ミニット イージーの場合『圧力ぶたの金属部に流水』を1分程度かける、と書かれています。
圧力ぶたに流水をかけて圧力を下げる。
中略
圧力ぶたの金属部に流水を1分程度かけて、圧力を下げます。
ノズルや安全口ックピンに水が入らないようにご注意ください。
安全ロックピンが完全に下がったら、セレクタ一を回し(蒸気排出)マークを圧力ぶたの目印位置にゆっくり合わせます。(ティファール – クリプソ ミニット イージーの取扱説明書より引用)
※水をかけて急冷しても良いか、製品のどこに水をかけて急冷すれば良いかは、必ず使用している製品の説明書を確認してください。
またこれと似た方法で、フタの上に濡れ布巾をかける方法も存在します。
いずれにせよ、圧力鍋のフタなどを流水や濡れ布巾をかけて冷却。
これにより鍋の内部の圧力を下げ、急冷するという仕組みは同じです。
新しい圧力鍋を使い始める前に、必ず一度は取り扱い説明書をしっかり読んで!
圧力鍋は、節約・手間いらず・時短などのメリットをもたらす、本当に素晴らしい調理器具です。
ただしその動作の仕組み上、加熱(高温) + 加圧調理を行うため、正しい取り扱い方をしないとヤケドや怪我をするおそれがあります。
はるるもそうですが、特に圧力鍋を使い慣れている人の場合、説明書をしっかりと読まずに使い始めしまうかもしれません。
ですが製品ごとに適切な急冷方法など、正しい取り扱い方法が異なる場合も考えられるため、新しい圧力鍋を使い始める前に、必ず一度は取り扱い説明書をしっかり読んでおきましょう!