車での暖房時A/C(エアコン)オフでも暖かいし、燃費はあまり変わりません!
2018/04/26
本エントリーの目次
先日、勤務先の若い子と休み時間に車について話していたときのこと。
それはもったいない!と思うことがあったんです。
そろそろ運転中に車の暖房をつけないと厳しいです!
なんでもこの子は、車の運転中にガソリン代を節約する(燃費を良くする)ために、多少寒くても厚着をして車の運転をすることで、なるべく暖房を使わないようにしていたんだとか。
ですが冬が近づいてきた最近ではだいぶ気温が下がってきたので、そろそろ車の暖房をつけて運転しないと厳しくなってきた、という話だったわけ。
節約意識が高く、貯金をするのが趣味の一つと言っているような子だったので、その子らしいなぁと思いました。
それと同時に、もったいないなぁ、とも。
暖房はせっかく車に搭載されている快適な機能ですから、使わないともったいないですよね。
しかもこの子は勘違いをしていますが、暖房は正しい使い方をすればあまり燃費に影響を与えません。
つまり燃費が悪くなることはほとんどないのです。
これを知らずに、寒い思いをしながら運転していたら風邪をひいてしまい、病院に行ったので医療費がかかってしまった…。
なんてことになったら、さらにもったいないですよね。
そこで今回は、車での暖房使用は正しい使い方をすれば燃費に影響しませんよ!
またA/C(エアコン)機能を理解して正しく使うことが、低燃費の実現にはとっても重要ですよ!という話をしようかと。
車で暖房を使っても、ほとんど燃費には影響しません!
影響がまったくなく、ゼロである。
とまではいきませんが、自動車で走行中に暖房を使用しても、燃費への影響はほとんどありません。
これは車の暖房がエンジンの発生させた熱を使っているためです。
しかも本来なら空気中に捨てるだけの、ムダな熱を使っています。
車にくわしくない方でも、エンジンが異常加熱することをオーバーヒートというのは、知っている方が多いでしょう。
このオーバーヒートという言葉からも何となく、エンジンはものすごい大量の熱を発散しているんだ…なんてイメージはわくはず。
それもそのはずで、車のエンジンは内部で秒間数百から数千回の小爆発を繰り返して、車を前進させるための動力を取り出しています。(爆発回数はストロークと呼ばれる方式、気筒数によって異なり、回転数に応じて頻繁に変わります。)
この爆発によって発生した熱は莫大であり、エンジンを構成する金属を加熱するため、放っておくと過加熱(オーバーヒート)による動作不良や故障を起こしてしまいます。
そこで現代の車では、走行風でエンジンの外側を冷やしたり、エンジン内部に冷却水を循環させて内部を冷やす構造となっています。
具体的には、エンジンの中で熱を奪って加熱されたクーラントと呼ばれる冷却水は、車両前方部にあるラジエターという部品で走行風やファンによる送風をあてて熱を発散・冷却され、再度エンジンの内部へ。
という工程を延々と繰り返すことで、エンジンを冷却し続けているのです。
そしてこの経路の途中、エンジンの熱で温まったクーラントの一部は分岐された経路により、車内にあるヒーターコアと呼ばれる部品に流れ込んでいます。
これにブロアファンという送風機で風をあてることで、ヒーターコアと熱交換を行い、車内の暖房に使用する温風を作り出すのです。
こういった車の冷却の仕組みを知ると分かるとおり、通常エンジンから発生した熱は、ラジエターと呼ばれる熱交換器で空気中に発散・捨てています。
そして不要であり、捨てられるはずだった熱の一部のみを、ヒーターコアと呼ばれる熱交換器に流し込み、暖房用の温風を作り出して車内を暖房しているわけ。
電気を使うなどして温風を作っているのではなく、先にも書いたとおり本来なら空気中に捨てるだけであったムダな熱を有効活用して暖房していることから、燃費への影響はほとんどないのです!
『ほとんど』の意味するところ
車の暖房の使用は『ほとんど』燃費に影響しない、と書いてきましたね。
これは厳密には少し影響があるため、あえて書いています。
暖房を動作させると、車両の内部では暖房を制御するためにさまざま機能が動作を開始。
またヒーターコアから温風を取り出すために、ブロアファンが回転を始めます。
これら機能・機材は、もちろん電気を使って動いているのは、簡単に想像できますよね。
そして電気はエンジンの回転によって発電されているものであり、電気が足りなくなると自動車はエンジンの回転数を自動で上げる。
またアイスト(アイドリングストップ)車では、アイドリングストップ機能を解除してエンジンを始動させるなどして、発電量を増やすのです。
車両が使用する電気量が増える = エンジンの回転数を上げなければいけないシーンが増える = 燃費の悪化につながる。
という図式が成り立つため、車の暖房を使用すると厳密には燃費への悪影響があるのです。
ただこれは燃費が著しく下がるものではなく、わずかに下る程度であり、ほとんど影響しないと考えて良いレベルでしょう。
電気自動車では燃費(航続距離)に大きく影響します!
車で暖房を使ってもほとんど燃費には影響しないというのは、あくまでもエンジンを搭載している自動車での話。
エンジンを搭載せず、モーターのみで駆動する電気自動車では事情が大きく異なり、大いに影響します。
エンジン自動車※の燃費はkm/ℓ(またはkm/L、km/l)、電気自動車ではkm/kWh(またはWh/km)と表現しますが、この数値に悪影響を与えます。
※レギュラーガソリン・ハイオクガソリン・軽油(ディーゼル)を燃料とする車両を総称。
電気自動車は、エンジン自動車の暖房時に熱源に使っていた、最大の発熱源であるエンジンを搭載していません。
そのためエンジン排熱による暖房ができないため、別途ヒーターを搭載しています。
現在電気自動車に使われるヒーター機材はPTCヒーター、ヒートポンプエアコン、燃焼式ヒーターの3つ。
このうち燃焼式ヒーターは車両内部で灯油、軽油、ガソリンなどの化石燃料を燃やして熱を発生させる仕組みのため、燃費への影響は軽微です。(電気自動車の燃費は電気の使用量が関係するため。)
残るPTCヒーターやヒートポンプエアコンでは、電気を動力にして温風を作り出すため、暖房を使用すると電気を使うことから燃費への影響度は特大。
どれくらいの影響があるのかというと、もちろん車両によって異なりますが、満充電からの航続距離が25~40%前後減少するほど。
電気自動車に使われている暖房用のヒーターは、2.5~7kW(2500~7500W)もの大量の電気を使うため、燃費への影響が非常に大きいのです。
A/C(エアコン)の使用は燃費に大きく影響します!
車の空調機能には暖房の他に、A/Cという機能も存在します。
このA/C(エアコン)の使用は、暖房とは異なり燃費に大きく影響します!
車で走行中に暖房を使った場合、燃費に大きな影響があると勘違いしている方の多くは、A/C(エアコン)使用時の燃費の悪化と混同しているのでしょう。
また車で走行中に暖房を使ったときの燃費の悪化を実感している方では、暖房使用時に常にA/C(エアコン)を併用しているのだと思います。
A/Cとは
A/CはAir Conditionerの省略表記であり、いわゆるエアコンです。
ただ要注意なのが、車のA/C(エアコン)と一般家庭で使われているエアコンでは機能が違う、ということ。
一般家庭で使われているエアコンには、暖房と冷房の両方の機能が搭載されており、空気の温度や湿度を調整するという意味のAir Conditionerそのものと言えます。
これに対して車のA/Cでは冷房機能と除湿機能があるものの、暖房機能は分離されており、A/Cそのものには搭載されていません。
そのため車のA/C(エアコン)を使うのは、冷房で車内を冷やしたいときか、車内を除湿したいとき。
または除湿による窓の曇り取りが必要なときとなります。
ちなみに車のA/Cが冷房機能と除湿機能にかぎられるのは、歴史的経緯によるものなんだとか。
以前は車の空調設備には暖房と送風しかありませんでした。
これに技術革新で冷房・除湿機能が付与され始めたときに、非搭載車と区別してエアコン搭載車と売り出したことによるそうです。
A/C(エアコン)の使用時は燃費が下がります!
暖房使用時とは異なり、車のA/C(エアコン) = 冷房・除湿機能の使用時は燃費が下がります。
これはカーエアコン(冷房)の仕組みによる影響を受けるからです。
車の暖房の仕組みについては先に書いたとおり。
そして冷房や除湿に使うA/C(エアコン)の仕組みについては、以前書いているので詳細なメカニズムを知りたい方は以下をご覧ください。
参考:車のエアコンの嫌な臭いが発生しないようにする簡単・おすすめな方法 – カーエアコン(冷房)の仕組み
簡単に書くと、エンジンの動力を使ってコンプレッサーという部品で冷媒を大気圧の十数倍まで圧縮。
この圧縮した冷媒を一気に膨張させることで、エバポレーターというパーツを冷却。
ここにブロアファンで送風して冷房用の冷風を作っています。
この冷房用の冷風を作る機構のことを冷凍サイクルと呼び、冷凍サイクルはその構造上、空気中の水分をエバポレーター周囲に大量に結露させるのです。
これにより空気を乾燥させて除湿効果を得ています。
乾燥させた空気は窓の内側にあてることで曇り(これも窓の表面にできた結露)を取り除く効果があります。
こういった仕組みのため、冷房で車内を冷やしたいときか車内を除湿したいとき、または除湿による窓の曇り取りが必要なときにA/C(エアコン)を使うと良いでしょう。
そしてこの冷凍サイクルの過程で使われるコンプレッサーという部品が燃費に大きな影響を与えます。
コンプレッサーは冷媒を圧縮するために大きな力が必要で、エンジンの動力をたくさん使うことで動作しています。
特に軽自動車では、エンジンの発生させる力が弱いため、A/C(エアコン)をオンにしてコンプレッサーが動き始めると、途端にパワーを冷凍サイクル(主にコンプレッサー)に持っていかれて加速が鈍くなることがあります。
はるるが以前乗っていたミラバンではこの現象が顕著で、発進時にエンストしやすくなるほどでした(笑)
そして交差点での停車中などエンジンの回転数が低く、発生させる力が弱い状況では、コンプレッサーを正常動作させるために、車両が勝手にアイドリングの回転数を上げてパワーを得ようとします。
またコンプレッサーが動作中は加速に使えるパワーが減るため、同じような加速力・加速感を得ようと無意識にアクセルをより多く踏み込みます。
こういった事情により、車のA/C(エアコン) = 冷房・除湿機能の使用時は燃費が下がるのです。
尚、ターボ車やもともとエンジンの発生させる力が強い車では、エアコンの使用によるパワーダウン感をあまり感じないことも。
ですがパワーダウン感を感じずとも、コンプレッサーに動力の一部を奪われている都合上、燃費は悪化しています。
参考までにはるるが現在乗っているダイハツ コペン ローブ Sでは、エアコンを使用すると燃費が10~15%ほど下がります。
燃費の計算には満タン法を使っているので、かなり正確な数値のはずです。
参考:車の燃費を知りたいなら満タン法での記録・計算がおすすめ!
この車両にかぎらず、車のA/C(エアコン)をオンにしている状態では、オフの状態に比べて5~10%ほど燃費が下がるのが一般的です。
A/C(エアコン)を正しく使うことが大切!
今回ご紹介したように、車の暖房使用による燃費への影響はほとんどありません。
対して大きな影響があるのが、A/C(エアコン)です。
そのため低燃費を実現するためには、カーエアコンを正しく使うことがとっても大切!
具体的には以下のポイントをしっかりと理解し、A/Cを適切なタイミングにかぎって使うことで、燃費をよくできるでしょう。
- 暖房機能そのものは燃費にほとんど影響しない。(エンジン自動車)
- A/C(エアコン)機能は燃費への影響度大。
- A/Cの主な機能は、冷房と除湿、ガラスの曇り取り。
- A/Cを使わずとも暖房機能は正常動作し、温風を出してくれる。
- 暖房使用中はガラスが曇っているときか、雨の日など多湿で車内が不快なときのみ、A/Cを使う。
- 冷房で車内を冷やしたいときはA/Cを使う。
基本的には、以下のようにA/C(エアコン)はオフ。
そして必要なときのみ使うことで、より低燃費を実現可能です。
以上、参考になさってくださーい!