29歳、離婚しました。

家事は元妻にまかせっきり。そんな生活力ゼロ男の離婚後の生活を綴ったブログです。著者がその後の生活の中で見つけた生活術やお役立ち情報をお届けします。

マザーボード梱包用ビニール袋の上での自作PCの組み立ては危険!

      2018/04/25

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少し前に書いたPCパーツは多少高くても日本正規代理店品を買った方が良いの?の冒頭に登場した、人生で2回(台)目の自作PCの組み立てに挑んでいた友人。
その後、無事パーツの選定を終え、各PCパーツの発注も完了。

そして届いたパーツの組み立てを行っていると、その最中にトラブルが発生したようで、はるるのスマホに連絡があったんです。

PCは正常に動いているんだけど、なんとなくほんのり焦げ臭い気がする…これ、大丈夫かな?

この話を聞いたはるる、とりあえず多分大丈夫じゃないだろうから、今すぐにPCの電源を切って作業を中断した方が良いよ!
あと扇風機とかうちわがあるなら、その風をPCパーツにあてて温度を下げてあげて!
とアドバイス。

電話でのやり取りでは詳細な状況や原因は分からなかったんですが、作業(組み立て)ミスによるものなのか、何かの部品がしっかりと排熱できていないとか、そんな理由で異常に発熱しているんだろうと判断。
熱によるPCパーツの破損を防ぐために、送風による冷却をお願いしたわけです。

そして幸いなことにその日は特に予定もなく、自宅でPCゲームをやっていたはるる。
急きょ友人宅に状況確認に行くことに。

マザーボード表面には何の問題もなし!?

その後友人宅に到着したはるる。
PCパーツ一式が置いてある部屋に入ると、たしかにほんのり焦げ臭い。

強いニオイではないんですが、ほんのりケミカルな焦げ臭さを感じます。
肉を焼いた時のような焦げ臭さではなく、プラスチックなどの樹脂製品が焼けたようなニオイ、でしょうかね。

そして友人に詳しい話を聞いてみると、以下のような状況とのこと。

  • まだ仮組み状態でPCケースに格納していない。
  • 各パーツの組み付け、BIOSの起動確認は問題なく完了。
  • 仮組み状態のままのOSのインストール、ドライバーの適用まで完了。
  • その後少し動かしていたら、突然焦げ臭いニオイがしてきた。

というような感じで、OSのインストールまではとても順調に作業できていたようです。

パーツ構成的にオーバークロックを想定しておらず、もちろん友人もそんな設定は分からないし、一切していないとのこと。
そのため過度なオーバークロックによって、各パーツの排熱が追いついていないというわけでもなさそうです。

マザーボードの表面を一通り見ても、特に取り付け不良や誤配線のようなものは見受けられません。
つまりパッと見は、何の問題もなさそうなんですよね。

もちろん原因究明のために、マザーボード周辺のニオイを嗅いでみたんですが、マザーボード全体が焦げ臭い感じがして、発生源はよく分かりませんでした。

そこで何をしていたら焦げ臭いニオイが発生したのか、さらに詳しく聞いてみたところ。

負荷テストを行うソフトを動かしていたら、焦げ臭いニオイが発生したらしい

友人の話によると、ネットで自作PCの組み立て手順を調べていたら、OSのインストールが終わったら、負荷テストを行うソフトで1時間程度の負荷テストを行い、それで正常に動作すれば今後安定的に使えるでしょう!
というような内容が書かれているサイトを見つけたそう。

そのためOSのインストール完了後、そのソフトウェアを動作させて負荷テストを行っていた。
そしてテスト開始から15分ほど経過したころに焦げ臭いニオイに気付き、はるるに電話した、ということみたい。

この負荷テストを行うソフトウェアですが、オーバークロック後にその設定で長期間常用できるかどうかのチェックなどに使う有名なソフトウェアで、はるるもよく使用しているものでした。

このソフトは初期設定では、CPUが高温になると自動でテストを中止してくれる機能があります。
そのためCPUクーラーの取り付け不良やCPUクーラーの性能不足により、CPUが異常な高温になったとしても、すぐにテストを停止してくれるはず。(急激に高温になるとBSoD=ブルースクリーンによる強制終了になったりする場合もありますが…。)

だから焦げ臭いニオイが発生するようなことが起こるとは、考えにくいんですが…。

う~ん、この構成・マザーボードでは、大きな熱源はCPUかPCHくらいだよなぁ。
とりあえずCPUクーラーの取り付けを確認してみようか。
なんて思いながら、なんとなくマザーボードを持ち上げてみたところ、何かがマザーボードにくっついてきたんですよ。

そしてそれをマザーボードから剥がしてみると、あっさりと原因が判明。

原因はズバリ、マザーボードが入っていたビニール袋
なんと持ち上げたマザーボードの背面に、このマザーボードが入っていたビニール袋の一部が溶けてくっついていたんです!

焦げ臭いニオイの原因は、マザーボードが入っていたビニール袋!

通常マザーボードは購入時は箱に入っており、箱からボードを取り出すと、さらに以下のようなビニール袋に包まれて梱包されているはず。

マザーボード梱包用のビニール袋

※このマザーボード梱包用のビニール袋ははるるの自宅にあったもので、焦げ臭いニオイの原因となったビニール袋ではありません。

友人はこういった梱包用のビニール袋をマザーボードの下に敷いて仮組みを行い、そして負荷テストを行っていたようです。

そして負荷テスト時にマザーボードの一部が高温になり、下に敷いてあったマザーボード梱包用のビニール袋の一部を溶かした。
その結果ケミカルな焦げ臭いニオイ(プラスチックが焼けたようなニオイ)が発生していた
、ということみたい。

※溶けていたというとオーバーな表現になってしまうかもしれないんですが、ビニールの一部が熱で収縮し、その部分がマザーボード背面で溶けたようになってくっついていた状態だったため、分かりやすく『溶けていた』と表現しています。

ちなみにマザーボード背面でビニール袋が溶けていた部分の表面にはPCHがあり、これが負荷テスト時に高熱になってしまったのではないか、と推測されます。

ふむふむ、なるほど。
これであれば納得がいきます。

PCHって何?

PCHとはプラットフォーム・コントローラー・ハブのことで、IntelのCPUをサポートする機能を持った機材のこと。

一般的なマザーボードであれば、バックパネルが左端に来るようにマザーボードを見た時に、ボードの右下に配置されていることがほとんどで、冷却のために表面に以下のような巨大なヒートシンクを備えていることが多いです。

プラットフォーム・コントローラー・ハブのヒートシンク

※このマザーボードはビニールが背面で溶けてしまったボードとは異なるボードです。

図中ASUSと書かれている金属製のパーツがPCHのヒートシンク。
PCH本体はヒートシンクで隠れていて見えません。

このPCHは世代により役割が異なりますが、主にSATAストレージやUSBなどの制御を行い、IntelのCPUをサポートしています。

そしてこのPCH、一般的にはCPUのようにファンによる送風などの強制冷却機構を持たず、ヒートシンクによる放熱のみで冷却を行っていることがほとんどです。

通常であれば、この冷却方法だけでも十分に冷却可能なはず。

ただ一部のマザーボードでは、特に負荷をかけていない状態でもヒートシンクの表面を長時間触っていられないほどに発熱するものも。
(上記画像のPCHのヒートシンクもこのタイプ。だから巨大なヒートシンクが付いているんでしょうけれど。)

こういったタイプのマザーボードで負荷テストを行うと、PCHがかなりの高温になります。

さらに今回のケースでは、仮組みのためにPCケースに入れておらず、ケースファンによるエアフローも一切ない状態だったはず。
これによりPCHのヒートシンクによる冷却性能が十分に発揮できていなかった可能性も考えられます。

これらの条件が重なった結果、マザーボードの下に敷いていたビニール袋が溶けてしまった。
というのが、今回の問題発生のメカニズムなんだろうと思います、おそらくは…。

ちなみに問題が起きたPCでは、テストは正常に進んでいたそうです。
だからマザーボード(PCH)にとっては正常に動作できる範囲内の温度であったが、それに接していたビニール袋が耐えられない(溶けはじめてしまう)温度であったんじゃなかろうかと。

マザーボードが梱包されているビニール袋が、実際にはどれくらいの温度で溶け出すのか分からないため、これも推測ですが。

尚、この友人のマザーボードは、裏面のビニール袋を外して溶けた部分をしっかりと確認したところ、ビニールの成分が基盤に溶け残っていた感じもなく、正常に起動・動作していたため、そのまま使い続けても問題なさそうでした。

ただ将来的に発火・火事の原因になったりしたら怖いので、新しいボードを買って交換した方が良いよ、とアドバイス。

なぜマザーボード梱包用のビニール袋をマザーボードの下に敷いていたのか

はるるは自作PCの仮組みの際は、以下のようなテスト用のケースを使うか、段ボールの上で組み立てを行っています。

こういったテスト用のケースや段ボールの上にマザーボードを置いて組み立てを行うのは、マザーボード背面の電子回路の短絡(ショート)による破損を防ぐため。

テスト用のケースであれば、スペーサーによりマザーボードが少し浮くので短絡しませんし、段ボールも家庭で使う範囲内の電圧であれば絶縁効果があるので、同様に短絡(ショート)防止効果が期待できます。(※段ボールは高圧の電気を流すと、電気が流れてしまうそうです。)

またマザーボードが梱包されていた箱の上で組み立てを行う方もいるようですが、これもボール紙で作られていることが多いので、段ボール同様に絶縁効果による短絡(ショート)防止効果を狙ってのことだと思います。

ただマザーボードが入っていたビニール袋の上にのせて組み立てを行うというのは、やったことがありませんでした。
そこで友人に、どうしてマザーボードが入っていたビニール袋の上にのせて組み立てを行ったのか聞いてみると、ネット上でそうすると良いと書かれていたので、とのこと。

そのページを実際に見せてもらうと、マザーボードの梱包袋には帯電防止・絶縁機能があるので、短絡(ショート)防止効果がある、ということみたい。

※帯電防止とは物体が静電気を帯びるのを防ぐ効果です。(これは少しだけ電気を通す特性で実現されています。)
※絶縁とは物体に電気が流れなくする効果です。

たしかにマザーボードが入れられているビニール袋には、運搬・保管時の破損防止のために、帯電防止機能があるというのは知っていました。
ですが絶縁効果があるというのは初耳。

そしてそのページのアドバイス通りにマザーボードが入っていたビニール袋の上にのせて組み立て、負荷テストをやっていたら梱包用のビニール袋が溶けたわけですね。

本当にマザーボードの梱包用ビニール袋に絶縁効果はあるの?

この『マザーボードの梱包袋には帯電防止・絶縁機能があるので、短絡(ショート)防止効果がある』という話、実際のところはどうなんだろうか、と気になったはるる。
そこでたくさんのマザーボードを作っていることで有名なASUSさんの日本正規代理店の一つ、テックウィンドさんに問い合わせてみました。

問い合わせをした内容は以下のとおり。

前置き省略

ASUSさんのマザーボードでは、マザーボードがビニール袋に入っています。
これは絶縁体であり、帯電防止効果のあるものでしょうか。

マザーボードに各種部品を仮組時(PCケースに格納する前)、マザーボードの下にこのビニール袋を敷いておくことで、その絶縁効果によりマザーボード背面でのショートを防ぐ効果が期待できる、というような情報がインターネット上で見受けられます。

またマザーボードが入っているビニール袋には帯電防止効果はあるものの絶縁体ではない、という情報も少数ですが見つかります。

そのため実際のところ、ASUSさんの製品ではどうなっているのか教えていただけますでしょうか。 (テックウィンドさんの見解でも構いません。)
また絶縁効果が高いとされている商品パーケージの段ボールの上での組み付けについても、見解を教えていただけると助かります。 (ショートの可能性があるので推奨しないなど)

以上、よろしくお願いいたします。

(テックウィンドさんへの問い合わせ内容より引用)

上記問い合わせ内の『これは絶縁体であり、帯電防止効果のあるものでしょうか。』という部分は、電気を通さないものであり、かつ(静電気を防ぐために少しだけ)電流を流す効果があるものでしょうか?
というちょっとおかしな問い合わせ内容なのは、承知の上で聞きました。
もしかするとそういう『帯電防止のために極微量の電流は流すけども、通常の電流はブロックします!』という特性のある特殊な材質のビニール袋なのかもしれませんし…。

そして問い合わせをした翌日に、以下のような丁寧な回答をいただけました。

前置き省略

平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼を申し上げます。
テックウインドサポートでございます。

お問い合わせいただいております件につきましてご案内申し上げます。

製品に付属しているビニール袋についてですが、こちらは単純な帯電防止用のビニールとなっており、お客様のおっしゃる仮組時に下に敷く事でショートを防ぐといった用途としては想定されておりません。

また、製品外箱の上での組み付けについてですが、推奨といったものはなく、製品の外箱ですので基本的にそのような用途は想定されてはおりません。尚、お客様から外箱の上で仮組を行い、そのことが要因となってトラブルが起きたというお問い合わせを伺ったことは今のところございません。

※仮組を行う際は絶縁性のあるものの上においていただき、十分注意して行っていただきますようお願い申し上げます。

もし、ご心配であれば動作確認などのサービスを行っているショップ様にご相談いただくのもよろしいかと存じます。

以上、ご案内申し上げます。
お客様のご要望に沿わないご回答となってしまい、大変恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

以下省略

(テックウィンドさんからの回答内容より引用)

というわけでASUSさんの日本正規代理店の一つ、テックウィンドさんの見解の要点は以下のとおり。

  • ASUSさんのマザーボードの梱包用ビニール袋は帯電防止機能はある
    しかしショートを防ぐ用途でマザーボードの下に敷くことは想定してない。 = 絶縁効果については言及せず。
  • 外箱の上での組み付けも想定していないが、これが原因でトラブルが起きたという報告はない。
  • 組み付けは絶縁性のあるものの上で行ってほしい

マザーボード梱包用のビニール袋の絶縁効果の有無は不明だが、下に敷いて仮組みやテストをするのは危険なのでやめた方が良い!

実際にテックウィンドさんに問い合わせをした結果、マザーボード梱包用のビニール袋には帯電防止機能があることは確認できたものの、絶縁効果の有無は不明です。

ただ仮組み時の冷却・放熱がしっかりとできていないと、友人の事例のようにビニール袋が溶けて異臭が発生するなどの問題が起こる可能性があります。
そのため、仮組み時にマザーボードの下に絶縁効果を期待して梱包用のビニール袋を下に敷いておくのは避けた方が良いと思います。

そして先に挙げたようなテスト用のPCケースを使うか、絶縁効果のある熱に強いものの上で仮組みを行えば、短絡(ショート)による破損や熱による問題の心配はありません。

段ボールは絶縁効果はあると思いますが耐熱効果は低そうなので、使用する機材の発熱量が多いようであれば、扇風機による送風を行うなどして機材を冷却してあげた方が良さそうです。

ちなみに以下の製品のように、マザーボードを机上で動作確認するのに便利そうな樹脂素材のスペーサーも販売されています。
ケースに格納しない状態での動作確認を頻繁に行う方の場合には、手元にあると便利かもしれません。

また仮組み状態で負荷テストを行う場合には、ケースファンによるエアフロー・それによる放熱・冷却効果が期待できないため、扇風機やサーキュレーターなどでPCパーツに送風し、強制冷却をしてあげた方が良いでしょう。

ただこれでは冷却性能のチェックができないので、ある程度一連の動作確認ができたら、PCケースに入れてから本格的なテストを実施することをおすすめします。

補足:ヒートシンクの保護シールを剥がすのを忘れずに!

最近のマザーボード製品では、PCHやその他パーツの冷却のために多数のヒートシンクがついています。
そしてこれらの表面には、運搬・組み立て時の傷付き防止のために、保護シールが貼ってある場合があります。

たとえば以下のような形状のヒートシンクにも保護シールが貼ってある場合があるので、これらは各パーツの組み付け完了後、使用前にかならず剥がしておきましょう!

マザーボード上のヒートシンク

以上、自作PCの組み立て時の参考になさってくださーい!

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