外来語やカタカナ用語末尾に長音(ハイフン)をつけて伸ばした方が良い?
2020/04/03
本エントリーの目次
コンピューターとコンピュータ、どっちを使いますか?
どっちでも良いよ。
なんて言われてしまいそうですが、はるるにとっては割と重要。
書類に書く時、コンピューターとコンピュータ、どっちを使いますか?
はるるは断然、コンピュータ派でした。
だって語感が良いと言うか、昔からの癖というか。
ですが理由は後述しますが、現在はコンピューター派です。
ただ、今でもコンピュータ派だ!
という方も結構いらっしゃると思います。
でも残念なことに、今の流行じゃないんです、これ。
というわけで今回は、この末尾の伸ばし棒(長音符)について語ります。
長音符いろいろ
コンピューターと同じように、はるるが以前は長音符を付けていなかった単語は、他にもあります。
それはたとえばこんな言葉たち。
- アクセサー
- アセンブラー
- アダプター
- アップデーター
- アドミニストレーター
- アロケーター
- アンインストーラー
- インストーラー
- エクスプローラー
- コントローラー
- スキャナー
- スカラー
- セレクター
- ドライバー
- バッファー
- パラメーター
- フォルダー
- ブラウザー
- プリンター
これら以外にも、たくさんあります。
そしてこれらを見ていると、なんとなく分かった!
という方もいらっしゃるかもしれませんね。
実はこれらは共通して、末尾に『er』、『or』、『ar』のどれかが付く英単語をカタカナで表記したもの。
末尾の長音符を省く慣例があった
日本のIT業界では、以前からこういった単語の末尾の長音符を省く、という慣例がありました。
これは以下のような、JISの表記規格にのっとっていたため。
a) その言葉が3音以上の場合には、語尾に長音符号を付けない。例:エレベータ(elevator)
b) その言葉が2音以下の場合には、語尾に長音符号を付ける。 例:カー(car)、カバー(cover)
c) 複合の語は、それぞれの成分語について 上記a)又はb) を適用する。例:モーターカー(motor car)
d) 上記a)~c)による場合で、長音符号を書き表す音(例1)、はねる音(例2)、及びつまる音(例3)は、それぞれ1音と認め、よう(拗)音は1音(例4)としない。例:テーパ(taper)、ダンパ(damper)、ニッパ(nipper)、シャワー(shower)(JIS Z8301:2008 G.6.2.2 b 表G.3より引用)
※日本工業標準調査会のwebサイトにアクセスし、Z8301で検索すれば、引用元を閲覧可能です。
はるるも以前はこのIT業界の慣習にのっとり、コンピュータ、プリンタという表記で、各種ドキュメントを作成していたわけ。
そのため現在も、コンピューターやプリンターと書く際に、大きな違和感を感じるんです。
しかし!
コンピューター、プリンターと書くのが一般的!
なんですよね。
最近の新聞やyahooニュースを見ると、そのほとんどがコンピューターやプリンターのように、最後の長音符を省いていません(伸ばしています)。
その流れを受けて、なのかどうかは不明ですが、文化庁は以下のように定めました。
長音は,原則として長音符号「ー」を用いて書く。
(文化庁 外来語の表記より引用)
つまり、コンピュータやプリンタではなく、コンピューターやプリンターと書くの!
それが私達の見解よ!
言うこと聞かないやつらは、もう知らないから!
ぷんぷん!(怒)
という感じでしょうか。
その流れを受けて、JISの表記規格もこのように追加・編集されました。
a) 専門分野の用語の表記による。
注記 学術用語においては、言語(特に英語)のつづりの終わりの -er、-or、-ar などを仮名書きにする場合に、長音符号を付けるか、付けないかについて厳格に一定にすることは困難であると認め、各用語集の表記をそれぞれの専門分野の標準とするが、長音符号は、用いても略しても謝りでないことにしている。(JIS Z8301:2008 G.6.2.2 aより引用)
つまりJISさんのありがたいお言葉を要約すると、こんな感じ。
正直に言っちゃうとね、慣例が広まりすぎちゃって、この書き方で書いてね!
って統一するのは今さら面倒なわけ、分かる?
だから、どっちでもOKってことにしてあげる。
ありがたく思いなさいよ!
はるるの悪意たっぷりに意訳している!
なんて声が聞こえてきそうですが、まぁこんな感じなわけですよ。
ですがJISの表記規格に書いてある、『長音符号は、用いても略しても謝りでないことにしている』という部分は、何とも日本人らしいというか、かなりあいまいですね。
というか、どっちでも誤りではないのは分かるけれど、じゃあ正しい表記(各用語集の表記)とは何なのよ!
と聞きたくなりますよね。
どっちもOKって言っているんだから、コンピュータって書けば良いじゃん!
こう思いますよね。
はるるもそう思いたいんですが、そうもいかない事情があるんです。
それは、WindowsやMicrosoft Officeを開発していることで有名なMicrosoftさんが、コンピューターと書くようになったから。
Microsoftさんは、コンピューターと書くようになった!
2008年にMicrosoftさんは、以下のようなアナウンスを公式に行いました。
今後弊社が採用する長音表記ルールは、国語審議会の報告を基に告示された1991年の内閣告示第二号をベースにしたものです。
このルールでは、英語由来のカタカナ用語において、言語の末尾が–er、-or、-ar などで終わる場合に長音表記を付けることを推奨しています。
既に、新聞や放送は概ねこの『外来語の表記』に準拠し、長音符号を付けることを原則としています。
(Microsoft News 2008年7月25日 プレスリリースより引用)
※引用元のページは現在非公開となっています。
つまり、今度から最後の長音符をつけることにしたから、よろしくー!
ということ。
実際、アナウンス以後に開発・販売されたWindows7では、従来コンピュータと表記されていた箇所が、コンピューターと変更されていました。
ふ~ん。で?
だから、どうした?
と思われるかもしれませんが、IT業界におけるMicrosoftさんというのは、とてつもない影響力のある会社なんです。
ネットの検索エンジンをつかさどるGoogle神と双璧を成すのが、このMicrosoft神。
現在はMac OSやiOS、AndroidにLinux、Unixなどなど、さまざまなOSが存在します。
ですが業務に使うとなると何だかんだで、やっぱりWindows + Microsoft Office。
以前山形県で、ソフトウェアの調達コスト削減のため、OpenOffice.orgという無料のオフィススイートを導入した、という話がありました。
これはたしかに税金の有効活用の面から、良い話なのかもしれません。
ですが現在では、Microsoft Officeを再評価して、再度導入しているそう。
再評価と言っているけれど、実際はOpenOffice.orgで作ったドキュメントをMicrosoft Officeで開くと(あるいはその逆)、図がずれちゃって使い物にならないから、とかそんな理由でしょ、なんて想像しちゃう。
実際はるるは仕事で、OpenOffice.org後継のApache OpenOfficeやLibreOfficeで作成されたドキュメントを、お客様からいただくことがありますが、互換性に問題を感じます。
大まかにはそれっぽく見えるけれど、細部を見ると、図形やグラフがずれちゃうとか、背景色が違うとか、そんな感じですね。
業務ではやっぱりWindows + Microsoft Office
そういった互換性の問題を気にしたくないので、どの会社もそのほとんどがWindows + Microsoft Officeを使っている、というのが現状でしょう。
そしてそのWindows + Microsoft Officeを作っているMicrosoftさんが、今度からは長音を付けるから、よろしくーと仰ったんです。
統一感はとっても大切だと思うの
はるるはIT業界で働いています。
そして、お客様に各種資料を作ってお見せすることも。
そんな時、資料内部に掲載したWindowsの画面キャプチャーでは、プリンターと書いてある。
それなのにはるるの資料には、プリンタと書いてあったら、統一感がありません。
これはとってもおかしいことだし、統一すべきですよね。
そして文化庁さんは、原則として長音符号「ー」を用いて書く、と言い切っています。
これにしたがって新聞やテレビのテロップも長音符を付けています。
こういった時代の流れに沿う形で、現在ははるるも長音符を省かずに表記するようにしています。
まぁ、そこまでこだわることでもないでしょ、と言われれば身も蓋もないのですが。
でも慣れ親しんできた慣習だけに、そう簡単にはいかないんですよね。
というわけで資料を作る際は、最近は長音符を付けて書いているんですが、未だに慣れないというか、違和感を感じるな~、という話でした。