食器にラップをかけて使えば、水道代の節約になる?
2018/04/22
先日、ラップをネット通販で購入しようと、検索エンジンで検索していた時のこと。
検索結果を下にスクロールしていると、とても興味をひかれるタイトルを発見。
どんなものかというと。
『ラップを食器にかけて使えば、水道代の節約になる!』というようなもの。
これは気になる!
というわけで、さっそく調べてみました。
本エントリーの目次
ラップを食器にかけて使えば、水道代の節約になる理由
最初に目に留まったサイト以外にも、この件について言及しているサイトがいくつかありました。
ただどれも主旨はほぼ同じで、おおむね以下のようなもの。
- ラップを食器にかけて使うことで、食器を洗わずに済む。
- 食器を洗わずに済むから、水道代が少なく済む。
- 使い終わったら、ラップをはがしてゴミ箱にポイ、これで終わり。
- ただし、ラップを購入する費用が別途発生する。
根拠に基づいた結論が書かれていない
これらのサイトに、もう一つ共通する点がありました。
それは根拠に基づいた結論が書かれていない、ということ。
どう考えても、ラップの方がお得だよ!だとか、水道代の方が明らかに安いでしょ!
といった意見は書いてあるのですが、その理由や根拠が書いていない。
そのためどれを読んでも、いまいち納得がいかないというか、ふむふむなるほど。
こう思えなかったのです。
というわけで、はるるなりに少し考えてみました。
本当にラップを食器にかけて使えば、節約になるの?
本当にラップを食器にかけて使えば節約になるのか、以下の条件で考えてみることに。
前提条件
この問題を考える上での前提条件は、現在のはるるの生活をモデルケースとし、以下のとおりとします。
また、ラップを使うと食器用洗剤を使わずに済むので、水道代に限定せずに、節約になるのかどうかを考えることにしましょう。
- 1人暮らし
- 3食すべてを自炊する
- 平日の標準的な献立を使用する
朝食:トーストと味噌汁
昼食:お弁当箱に詰めた、冷凍ご飯一膳と冷凍食品のハンバーグ、前日の野菜炒めの残り
夕食:親子丼、味噌汁、もやしのナムル - 調理に使用した食器、調理器具のことは考えない
計算が複雑になってしまうため。 - 食事に使用した箸のことは考えない
計算が複雑になってしまうため。 - お湯は使わない
冬場のガス代の計算が関係してしまい、これもまた、計算が複雑になってしまうため。 - 食洗機を使わない
電気代の計算が関係してしまい、計算が…以下省略。 - 1つの食器に使うラップの長さは、一律25cmとする
小皿と大皿、浅い皿と深皿があるが、個別に測りきれない。
そこではるるの家にあった、よく使うお皿4枚にラップをかけて使用した場合のラップの長さを計測。
その長さを平均すると約25cmだった、というのが、その根拠。 - 使用するラップは30cm×30mのもので、特売の際に65円で調達したものとする
- 手洗いする場合は1日1回まとめ洗いをし、200mlで150円の中性洗剤を1ml使うこととする
そのため1回当たりの洗剤にかかる費用は0.75円となる。
前提から想定される使用するラップの量
朝食
トーストに平皿1枚、味噌汁にお椀を1客。
食器2つ分なので、使用するラップの長さは50cm。
昼食
冷凍ご飯用の密閉容器、お弁当箱全体(箱とフタで別に)にそれぞれ、25cmずつ。
お弁当用の小分けカップは使わず、ラップでつつむことで代用する。
ただ、これは25cmずつでは大きすぎるので、おかず2つで25cmを使うこととする。
これらを合計すると、使用するラップの長さは100cm。
夕食
親子丼、味噌汁、もやしのナムルそれぞれに1枚のラップを使う。
そのため、合計75cmのラップを使用する。
使うラップの量はどれくらいか?
先の計算から求まった1日に使用するラップの量は、合計で225cm(2.25m)となります。
結構な量を使うものなんですね。
はるるの想像では、1.5mぐらいかと思っていました。
ただ、深型の皿は直径が小さくとも、深さの分だけラップが長く必要なため、納得できる範囲の数字かと。
1日に使うラップの量を金額に換算すると
次にこの225cm(2.25m)のラップを、金額に変換してみましょう。
ラップの1cm当たりの金額は、およそ0.022円(≒ 65 ÷ 3000)
1日にこのラップを225cm使うわけですから、1日当たりのラップ使用にかかる費用は4.95円(= 0.022 × 225)となります。
4.2円で使える水の量は?
さてここまでの計算で、食器をラップにかけて使用した場合の、1日当たりのラップ使用にかかる費用は4.95円、ということが分かりました。
次にこの4.95円で使える水の量を考えましょう。
と言いたいところですが、その内の0.75円は、前提条件で書いたとおり、洗剤代となります。
そのため水代として使用できるのは4.2円。
そこでこの4.2円で、使える水の量を考えてみましょう。
水道料金の計算には、以前もお世話になったこの値(日本の首都東京の例)を使用します。
水道料金は、1立方メートル当たり消費税込みで約140.5円になります
(東京都水道局のwebサイトより引用)
この東京都水道局の140.5円(1立方メートル当たり)という水道料金の場合、4.2円で使用できる水の量はおよそ29.89リットル(≒ 4.25 × 1000 ÷ 140.5)。
※1立法メートル=1000リットル。
結局どっちがお得なの?
これらの計算から、1日の食器洗いに使う水の量が29.89リットル以下であれば、ラップ案の方がお得、ということになります。(今回の前提としている条件下であれば、ですが。)
ただ1日の食器洗いに使う水の量が、29.89リットル以下かどうかなんて分からないですよね…。
そこでさらに、これを時間に変換してみましょう。
東京都水道局によると、食器洗いに使用する水の量の目安は、以下のとおり。
食器洗い:5分間流しっぱなしの場合、約60リットル
(東京都水道局のwebサイトより引用)
この数字を29.89リットルで考えると、約2分29秒の間、水を流しっぱなしにできる計算となります。
つまり前提条件で挙げた食器を、約2分29秒間、水で流す間に手洗いで洗浄できなければ、ラップ案の方がお得、というわけ。
実際に洗ってみると
ここまでの計算ができましたが、実際に測ってみないと時間は分からない!
というわけで、実際に手で洗って測ってみることに。
普段は大物以外の食器については、食洗機を使うはるる。
そのため手洗いは、あまり早い方ではないと思います。
そんなはるるが実際に手洗いをしてみると、約1分42秒。
スポンジでお皿をこすっている最中は水を使っていないので、すすぎの間、水を出し続けた時間が約1分42秒、ということです。
つまりラップを使わずに、普通に手洗いをした方がお得!
というのが、今回の前提下での結論、ということになります。
結局は条件次第
先の結論はあくまでも、今回はるるが提示した前提条件下でのもの。
手洗いにお湯を使うとガス代が、手洗いをせずに食洗機を使った場合は電気代が、別途かかります。
その場合は、今回の結論とは結果が異なってくるのかも。
ただ、実際に考えてみてよく分かったのですが、『ラップを食器にかけて使うことの節約効果』を試算するのは、非常に難解です。
というのは、不確定要素が多すぎるから。
それら不確定要素を前提条件でがんじがらめにして、なんとか頑張って計算してみた、というのが先ほどの試算結果。
ですが1つの食器に使うラップの長さを一律25cmとする、という時点で我ながら、かなり強引です。
まったくあてにならないとは言いませんが、精度が高いかと言われると微妙です。
そもそも毎日のメニューによって使う食器の量が違うわけで、使用するラップの量も違うわけですから。
食器の量が増えれば、使用するラップの量も比例的に増えます。
ですが食器洗いに使用する水の量はどうか、というと必ずしもそうはなりません。
水を桶にためて、すすぎをまとめて行えば、使用する水の量は少なくて済むからです。
他にはラップの調達料金やら水道代やらの不確定要素が多すぎて、正確な試算ができないのです。
そのため、今回の『ラップを食器にかけて使えば、節約になるの?』という疑問に対しては、条件によって異なる(はず…)、というのがはるるの結論。
こっちの方がお得だ!
という結論を期待していた方、ビシッと回答を提示できず、スイマセン。
ですが今回の試算の過程でよく考えてみた結果、ラップを使わずに食器を使った方が良い。
はるるはこう感じました。
ラップをかけずに、食器を使った方が良い理由
はるるが、ラップを使わずに食器を使った方が良いと思ったのは、以下のような理由から。
大きさの限界がある
ラップには大きさ(幅)の限界があります。
そのため、直径の大きい皿や深型の皿には使えません。
これらはラップが使えないため、結局は洗う必要があります。
箸には使えない
絶対に使えない、とは言いませんが、毎回まきつけるのは面倒でしょう。
それに、おそらく食材が滑って使いにくいこと、この上ないはず。
というわけで、ラップの使用は現実的ではないでしょう。
これもまた、洗う必要があります。
調理器具には使えないものが多い
ラップの耐熱温度は通常、110~140℃程度の製品がほとんど。
ですが揚げ物をする際の油の温度は、150~190℃。
また空焚きをしたフライパンは、250度を超えます。
そのためこれらの調理の際に使用したら、ラップが溶けてしまいます。
その他に網などの調理器具にもラップは使えません。
網が役目を果たさなくなるので…。
お玉などはラップをかけることも可能ですが、立体的な形なので、かけるのが大変でしょう。
というわけで、これらについてもラップの使用は現実的ではなく、洗う必要があるのです。
見た目的に…
ラップに包まれた食器での食事風景を、想像してみてください。
なんとなく見た目がいまいちだ、というのは、想像に難くないはず。
ちなみに実際にはるるがやってみた経験では、平皿のようにピチっとラップをかけられる食器では、あまり違和感はありませんでした。
しかし、味噌汁を入れたお椀では…。
穴が開く(あるいは元から開いていた)リスク
食事中に、食器にかけたラップが破れてしまうリスクもあるでしょう。
また、ラップの切り方が悪くて、元々一部に穴が開いている可能性も。
もしラップに穴が1か所でも空いていれば、このラップによる節約法は失敗します。
この観点から、失敗するリスクのある節約法である、と言えます。
面倒
ラップをかけるのがとにかく面倒です。
そして、ラップをかけている最中に穴を開けてしまわないように、細心の注意を払う必要があります。
それにより、精神的な疲労がたまるのです。
つまりまとめると
つまりまとめると、こういうこと。
- ラップを使った節約法は、水洗いを完全に代替できるものではない。(一部は水洗いが必要)
- ラップを張る作業が面倒で、さらに失敗する可能性もある。
- 料理の見た目はあきらめて。
- でも本当に節約になるかどうかなんて、条件次第なので分からない。
そして、それなら普通に水洗いした方が良いでしょ。
というのが、はるるの見解。
シーンによっては、使いどころはある
ネット上の意見をさらに調べていると、ラップをかけて食器を使った方がいいシーンもある。
ということが分かりました。
それは水を十分に使えない、または節約したい状況下の時。
たとえばキャンプをしている時や災害時などが、それにあたります。
こういった状況下では、たしかにラップを食器にかけることで、洗浄のための水を使わずに済みます。
というわけで、節約(生活費の)になるかどうかは別として。
『ラップを食器にかける』のは、時として非常に有効な節水方法になる、ということです。
災害対策の備蓄品に追加すると良いかも
はるるは災害対策用に、3日分の水と食料を備蓄するようにしています。
ですがこれまでは、食器のことを考えたことは、一度もありませんでした。
しかしこれを機会に、備蓄品に紙皿、プラコップ、そしてラップを追加しようと思います。
そうすれば、災害時に水が確保できない場合にも、食器の洗浄に悩まずに済むからです。
紙皿、プラコップ、ラップくらいであれば、それほど高くもないですし、腐るものでもありません。
そのため、災害対策の備蓄品に追加しておくと良いのかも。
いざという時に役に立つかもしれませんよ~。