自作PC(パソコンの自作)を安易におすすめしない8つの理由
2018/04/22
自作PC(パソコンの自作)は難しい?
はるるが自宅で使っているパソコンは、ノートPCとタブレットPC以外はすべて自作。
そのため同僚や友人から、こう聞かれることもしばしば。
パソコンの自作に興味があるんだけど、難しい?
その都度、はるるはこう答えています。
難しいかどうかは、その人のパソコン関係の知識(ハードウェア・ソフトウェア両方の)がどれくらいあるかによって変わるから、人によると思う。
だけどパソコンを自作することは、おすすめしないかなぁ。
本エントリーの目次
断然自作派だけど…
はるるはこれまでに、自分用、家族用、友人用、そして仕事用と、数十台のパソコン(PC)を自作しています。
つまり断然自作派、というわけ。
そんな自作PCが大好きなはるるですが、他人には絶対に自作PCをおすすめしていません。
そこで今回は、パソコンの自作を安易におすすめしない8つの理由、と題してお送りします。
自作PCとは?
自作PCとは、PCを構成するさまざまな部品を自分で用意・買い揃え、組み立てるPCのこと。
具体的には、以下のような部品の構成(組み合わせや個数)を自分で決め、組み立てます。
- PCケース
- マザーボード
- CPU(&CPUグリス)
- CPUクーラー(水冷PCの場合はラジエターやリザーバータンク、ポンプ、水枕、フィッティング、ホースの経路など)
- メモリー(主記憶装置)
- SSDやHDDなどの補助記憶装置
- 電源
- グラフィックボード
- 光学ドライブ(DVDドライブやblu-rayドライブ)
- OS(WindowsやLinux、UNIXなど)
光学ドライブについてはOSのインストールをUSBメモリから行う、アプリケーションソフトウェアについてはISO形式に別PCで変換して仮想ドライブでマウントする、という場合には不要です。
またグラフィックボードが必要かどうかについては、PCにグラフィックボード(グラボ)って必要なの?をご覧ください。
つまりPC内部の全部の部品を自分で制作することを示した言葉ではなく、部品の組み合わせを考えて自分でPCを組み立てることを指す言葉となります。
そのため自作ではなく自組とも呼ばれますが、今のところ自作PCと呼ぶ方のほうが多い印象です。
PCの自作をおすすめしない理由
さて、はるるが自作PCをおすすめしないのは、以下のような理由から。
割高になることが多い
PCを購入したいと思った場合、その主な購入方法は以下の3つ。
- 家電量販店などで販売されている(主にメーカー製の)パソコンを購入する
- BTO PCを購入する
- 自作PC用のパーツを個別に買い揃え、PCを自作する
BTO PCとは、あらかじめ決められた部品について、ある程度自分の好きな部品に変更することが可能なPCのこと。
DELLさんやドスパラさんが販売しているPCがこれに該当します。
以前は、自作PCが一番安くPCを手に入れる方法であった時代もありました。(10年以上前の話)
ですが現在では、PCの購入にかかる費用は構成がほぼ同じであれば概ねこんな感じになると思います。
BTO PC < 自作PC < 家電量販店の大手メーカー製PC
つまり現在では、自作PCが最も安くPCを手に入れる方法ではなく、BTO PCに比べると割高になってしまうことが多くなった、ということです。
PC内部の部品構成によっては、価格の関係は上下するかもしれません。
また自作の方が大幅に安いことだってもちろんあります。(現状ではハイスペックよりの構成にすると自作の方が安くなりやすいです。)
ただ全体的な傾向としては、自作PCに比べてBTO PCの方が安くなる、というのがはるるの印象です。
そしてこれは、以前は最も安かった自作PCの調達費用が何らかの理由により、上がってしまった(もちろんこれもあるのかもしれませんが…)というよりは、大量生産のために大量に同じ部品を発注することで単価を下げられるBTO PCの台頭により、自作PCの価格が相対的に高くなったのではないかと思います。
ハードウェア、ソフトウェア(OSやドライバーなどの)関連の広範な知識が必要
自作PCを完成させるには、ハードウェア、ソフトウェア(OSやドライバーなどの)関連の広範な知識が必要になります。
まず部品の組み合わせを選択する際に、どの部品を使うか・組み合わせるか、を考えるには、ハードウェア周りの知識が必要に。
PCが組みあがったら、BIOSやUEFIの設定を行い、WindowsやLinuxなどのOS・ドライバーをインストールし、PCを使えるようにしなければいけません。(OSやドライバーなどのソフトウェア関連の知識が必要。)
BTO PCやメーカー製のPCであれば、ここまでの作業は行ってあり、何も作業の必要はありません。
そのため、これまでBTO PCやメーカー製のPCしか使っていなかった方にとっては、その前作業として未知の作業が必要になる、というわけ。
部品の選定を間違えると、追加費用が発生することも!
部品の選定・調達を終え、いざ自作PCを組み上げよう!
となった時に、以下のような問題が発生し、部品の買い直しが必要になることも。
- 使用するパーツの要求する電源量に応じた電源容量が確保できておらず、起動不良や不安定な状況が頻発。
- PCケースが小さ過ぎて、グラフィックボードがケースに入らない、または他の部品と干渉する。
- CPUとマザーボードの対応するソケットを間違えた。
- マザーボードとPCケースの規格を間違えて、マザーボードをPCケースに固定できない。
これらはほんの一例で、実際には部品の選定ミスによるトラブルは、他にもたくさん考えられます。
PCを使えるようになるまでに時間がかかる
これは先に書いたとおり、BTO PCやメーカー製のPCであれば、必要のない事前作業が必要になるため。
さらにはるるのように、CPUやGPUのオーバークロックを行う場合は、テストに数日から2週間ほどかかる場合もあります。
※オーバークロックとは、低格以上の高電圧をかける、冷却機能強化、電源容量向上などによって、CPUやGPU、メモリーなどのパーツを低格以上の動作周波数で稼働させ、性能向上をはかることです。
簡単な構成で組んだ場合は、半日もかからずにOSのインストールまで完了させられますが、それでも買ってきてすぐに使える、というわけではないのです。
ある程度の英語力が必要
自作PCを組み立てようと思うと、英語からは逃れられません。
優しいメーカーさんの部品であれば、日本語マニュアルが用意されていますが、英語版のマニュアルのみ、というメーカーさんもまだまだあります。
また、パソコンのOS起動前のメッセージは英語であることも多く、ある程度の英語力が必要になります。
たとえば以下のようなメッセージが表示されることがあります。
press any key to boot from cd or dvd
これを見て、ふむふむ、起動CDか起動DVDを入れて、なんかキーボードのボタンを押せとな、と理解できる必要がある、というわけです。
ただこの点に関しては、スマホやPCでメッセージを検索すれば、対処方法が分かることが多く、またGoogle翻訳の力を借りればなんとかなります。
とはいえ、英語が嫌いな方の場合は、それなりに大変ではないかと。
騒音PCになりやすい
自作PCの全部とは言いませんが、普通に組み立てを行っただけでは、CPUファンやグラフィックボードのファン、ケースファンなどの騒音が大きくなってしまうことが多いです。
そのため、静かな部屋で使っているとうるさいなぁと感じる、いわゆる騒音PCになりがち。
そのため、BIOSの設定変更によるファンの制御を設定したり、ファンコン(ファンコントローラー=ファンの回転数を制御するためのハードウェア)を使用して、ファンの回転数を落とす、といった調整が必要になります。
BTO PCやメーカー製のPCであれば、この部分についてはあらかじめ調整されているため、極端にうるさいなぁ、と感じることはめったにないはず。
組み立てに多少の知識が必要である
自作PCの部品に付属するマニュアルは、お世辞にも親切丁寧とは言い難いことが多いです。
また、他のさまざまな部品を組み合わせてPCを構築するという、自作PCの部品の特性上、特定の商品と組み合わせた組み付け方が書かれていることはほとんどありません。
部品のマニュアルごとに、同じ部品や端子のことを別の名称で書いていたりするケースもあり、それらが同じものを指すのだ、という知識が必要になるのです。
構築時に部品を壊してしまうことがある
自作PCの組み立てに慣れていない方の場合、CPUのソケットへの組み付けミスにより、ソケットのピンを曲げた・折ってしまった、といったトラブルはよく聞きます。
こういった組み立て時に部品を壊してしまった場合の修理・代替品への交換費用は、もちろん自腹です。
壊したのは、他ならぬ自分自身ですから、これは仕方ありません。
自作PCにはこういったリスクもあるのです。
パソコン自体への製品保証がない
自作PCでは別々に購入した部品それぞれへの製品保証はあります。
ですがPC全体への製品保証はないのです。
だからパソコンが壊れたので、修理・交換してほしい!
と部品メーカーにお願いすることはできません。
できるのは、自作PCに使用しているこの部品が壊れたので、修理・交換してほしい!
ということだけ。
だから、どの部品が壊れた結果パソコンが動かないのか、というのを特定するのは、基本的には自作PCを作成したユーザー本人です。
そしてどの部品が壊れたのかを特定しないかぎり、部品メーカーに修理・交換依頼はできないのです。
尚、こういった壊れた部品の特定などのサポートについては、パソコンの部品を販売しているショップで、無償もしくは有償でサポートしてくれるケースもあります。
ですが部品の一部、または全部をそのショップで購入していないとダメ、といった条件が付くことも。
トラブル時に頼れるのは、基本的には自分だけ
これは、パソコン自体への製品保証がない、という点と関連するところ。
PCを長年使っていると、トラブルに遭遇することもあるでしょう。
そんな時、頼れるのは基本的には自分だけです。
BTO PCやメーカー製PCと違い、自作PCでは、そのPCの詳細な構成や設定値などを知っているのは、自作PCの作成者本人のみ。
また、パソコン自体への製品保証もありませんから、メーカーにパソコン一式の修理をお願いすることもできないのです。
そのため、ネットで同様の障害事例・解決策がないかを調べ、自分自身で部品の交換や設定変更などの修理対応をする、というのが基本スタンスとなります。
そしてその間は、PCが壊れており使えないわけで…。
だからPCが自宅に2台ない場合は、スマホやタブレットの小さい画面で解決策を見ながらPCを直す、といった作業が必要になるのです。
それでも私が自作PCを使い続けているわけ
さて、ここまでに書いてきたように、自作PCを他人におすすめしないのには、たくさんの理由があります。
それでもはるるが自作PCを使い続けているのは、以下のような理由から。
組み立てや部品選定が楽しいから
多分、これははるるだけではなく、多くの自作PCユーザーがそうなんじゃないかと思います。
どういった部品構成にすれば、予算内で可能な限り高スペックにできるか、自分好みのPCに仕上げられるか、といったことを考え、シミュレーションするのが楽しいのです。
そして実際に組み上がったPCが、期待通りに動作するのは、本当に楽しいことなのです。
ちなみにはるるの場合、最近はパーツをAmazonさんで購入することが多くなりました。
これは早ければ当日や翌日に届く対応の速さ、品揃えがとても豊富である。
そして価格も安いことが多い、という理由によるもの。
オーバークロックしやすいから
BTO PCやメーカー製PCの場合、オーバークロックができない、あるいは可能でも設定項目が少ない製品もあります。
ですが自作PCの場合はCPU、CPUクーラー、メモリー、マザーボード、グラフィックボード、電源などの各種部品をオーバークロック対応の製品にすれば、BTO PCやメーカー製PCでは実現できない高い動作周波数を実現することが可能になるのです。
そしてこれにより、とても高速にさまざまな処理を行うことができるようになる、というわけ。
特化型PCを作りやすいから
たとえば超小型PCだとか、オーバークロック特化型PC、ゲーム特化型PC、超静音PC、省電力PCとか、10以上の3.5インチHDDを搭載可能なPC、といった特定用途に特化したPCを作りやすいのも自作PCの魅力です。
たとえばはるるのこれまで作った特化型には、オーバークロック&ゲーム特化型PC、ファイルサーバー用途の省電力PC、12以上の3.5インチHDDを搭載可能なPCなんかがあります。
こういった特化型PCは、BTO PCやメーカー製PCでは需要が少なく、あまり作られていないのが実情です。
拡張性が高いから
BTO PCやメーカー製PCでは、拡張性が低いことが多いです。
拡張性とは、PCに機能を追加する余地のことで、主にケースの形状や電源の容量などに依存します。
BTO PCやメーカー製PCの場合、見た目や小型化を重視する傾向にあり、拡張性は二の次であることが多いのです。
それに対して自作PCであれば、拡張性の高い大きめのケースと、あらかじめ余裕を持った容量の電源をチョイスしておけば、あとで拡張できなくて困る、ということはほとんど起こりません。
デメリットを上回るメリットをしっかりと見い出せた方にのみ、自作PCをおすすめします!
以上のように、自作PCにはメリットもデメリットもあります。
ただ、パソコンはしっかりと動いてネットとエクセル、ワードができれば、可能なかぎり安いモデルが良い!
という方にとっては、自作PCはデメリットの方がはるかに多い、と考えます。
何しろ安くもなく、動くまでに手間がかかり、パソコン自体の保証もないわけですから。
これがはるるが、他人にパソコンを自作することは、おすすめしない理由です。
そして自作PCにデメリットを上回るメリットをしっかりと見い出せた、という方にのみ、自作PCをおすすめします。
PCは決して安い買い物ではないので、くれぐれもよく検討してみてください。
もし迷っているなら、BTO PCやメーカー製PCの購入をおすすめします。
ネット通販で購入可能なBTO PCについて
BTO PCについて聞かれることが多いので、補足します。
BTO PCとは先にも書いたとおり、あらかじめ決められた部品について、ある程度自分の好きな部品に変更して購入することが可能なPCです。
メーカーの中にはBTO PC専門のメーカーもあれば、家電量販店向けのPCを作っているメーカーが、ネット通販でのみBTO PCを販売しているケースも。
また店舗を持つPCショップが自社製品として、BTO PCの販売を行っていることもあります。
メーカー製の製品よりも、ショップ製のBTO PCの方がカスタマイズの幅が広く、安いことが多い!
BTO PCの自分でカスタマイズできる部品の範囲は、販売元のPCショップやメーカーさんにより大きく異なります。
そしてメーカーの製品に比べ、PCショップのBTO PCの方がカスタマイズできる箇所が多いのが一般的です。
たとえばメーカー製のBTO PCの多くではCPUの種類やメモリーの搭載量などは変更可能ですが、PCケースや電源ユニット※、CPUファンなどは変更できません。
ところがPCショップのBTO PCでは、これらについても変更可能となっていることも。
※メーカー製のBTO PCでも、サーバーの冗長電源については変更可能な製品があります。
さらにPCショップの製品の方が、一つの部品について変更可能な選択肢が多い傾向にあります。
またPCの処理性能に関わるパーツを同じ、あるいは同等の性能を持つ構成とした場合、価格はBTO専門メーカーのBTO PC < PCショップのBTO PC < メーカー製のBTO PCとなることが多いです。(BTO専門メーカーのBTO PCが最も安いことが多い。)
ただ価格については時期や製品によって上下関係が頻繁に入れ替わるため、このショップ(またはメーカー)のPCがいつも安いですよ!
と言うことはできません。
そのためBTO PCを購入する場合には、あらかじめベースの構成を決め、同等の製品(型番や性能が同じか、ほぼ同じもの)を搭載した状態でカスタマイズしたときの価格や保証内容をショップ・メーカー間で比較すると良いでしょう。
BTO PCをネット通販で購入できるサイトの例
参考までに、BTO PCをネット通販で購入できるメーカー・ショップのサイトをいくつかご紹介しますので、BTO PCの購入を検討されている方は、ベースの構成を決めてから価格の比較を行ってみてはどうでしょうか。(最初のサイトで価格を見ながらベースの構成を決めても、もちろんOKです!)
複数のサイトで見積もりを取るのは少し時間と手間がかかります。
ですが最安値と最高値が数万円単位で異なる、また保証内容が大きく異なることもあるため、可能なかぎり多くのサイトの見積もりを取った上で、購入する商品を決めることを強くおすすめします!