もう耐えられない、別居だ!出ていきます!
2015/10/03
離婚に向けた協議の中でよく聞こえてきそうなこのフレーズ、でもちょっと待ってください。
その別居、本当にしてしまっていいのですか?
離婚に向けた話し合いが条件面等でなかなか折り合わず、長期化してしまうことはよくあることです。
そこで離婚を突き付けた方は業を煮やしてしまい、遂には別居という道を選んでしまうのでしょう。
気持ちは分かります。
誰だって、離婚したい相手、往々にして既に愛情を持てなくなった、もっと言えば嫌いにすらなってしまった相手との同居を、苦痛に感じてしまうことは、人間として自然でしょう。
ただこの別居、民法で規定された夫婦の同居義務に、違反する行為となる可能性があります。
また、相手の承諾を得ずに勝手に別居を開始し、話し合いの機会を設けない、意思疎通をはかれない状況が長期間続くなどした場合、その後の離婚の協議の中で不利に働くことがあります。
もちろん相手のDVの回避等のため、精神的な理由から医師の診断によるもの等、合理的な理由があれば、その限りではありません。
ただ、一時の高揚した感情から別居を実行に移してしまうと、相手からすればこちらは話合いをするつもりがあったのに、そちらが勝手に出て行ったせいで、話し合いができなかったじゃないか、と責められることは十分考えられます。
安易な別居は危険!
安易な別居の危険性として、たとえばこんなケースが考えられます。
ある日、夫が体調不良の為に会社を早退して家に帰ってきました。
するといつもであれば、鍵がかかっているはずの玄関の鍵が開いていました。
おかしいなと思いつつ、玄関に入ると見たことがない、男物の大きなスニーカー。
まさか、そう思いつつ夫は息を潜めて、居間のドアのガラス越しに中をのぞきます。
するとそこには、妻と見たことのない男との浮気現場が…。
激高した夫は声を荒げ、妻に詰め寄ります。そしてこう言います。
離婚だ!別居だ!こんな家は汚らしい、俺は出ていくぞ!
その言葉と共に、離婚に向けた夫婦の別居生活が始まったのです。
大事なことを忘れていた!?
さて、このケース、夫は一つ大事なことを忘れていました。
それは二人の浮気の証拠です。
啖呵を切ってすぐに家を飛び出した夫は、浮気の証拠を確保するのを忘れていたのです。
そして離婚に向けた協議の中で、妻はこう言うのです。
夫は最近仕事で疲れているせいか、虚言癖があるのです。
私は夫の帰りを待ち望んでいましたが、一向に連絡が取れず、心配していました。
でも、こんな生活はもう嫌です、離婚してください。
勝手に出て行ったのはそちらですから、離婚の原因を作ったのもそちらです。
慰謝料は、たんまりいただきますからね!
もうお分かりですね。
本来離婚の原因は妻が作ったはずなのに、それを証明できなければ、夫のせいで離婚したことになるかもしれないのです。
別居の前によく考える
以上のようなケースはまったくあり得ない話、というわけではありません。
そのため、安易な別居、その前にこの別居は本当に大丈夫かな。
そのようにもう一度考えてみてください。
DV被害に苦しんでいるなど、緊急性がある場合を除けば、別居はいつでもできるはずです。
よく考えてから、別居を開始しても遅くはないはずですよ。