ご飯の自炊とサトウのごはんなどのレトルトご飯はどっちが安い?
2017/09/09
本エントリーの目次
先日、今年の新入社員の子たちと昼休みに雑談をしていると、その中の一人、最近一人暮らしを始めた子が面白い話を始めました。
その子いわく。
ご飯は自炊をするよりも、レトルトごはんを買った方がコストパフォーマンスが良い!
とのこと。
※レトルトご飯とは、電子レンジで加熱するだけで食べられる以下のような食品のことです。
これを聞いた他の新入社員の子たちは、皆一様にそれはない!
自炊の方が絶対に安い!
と反発。
それに対しての、レトルトごはんを買った方がコストパフォーマンスが良い!
と言った子の主張をまとめると、こんな感じ。
- 費用そのものを正確に計算したわけではないが、費用は自炊の方が少し安いくらいだろう。
- だが自炊の場合には炊飯に手間がかかる、洗い物が発生する、といったマイナス面もある。
- だから、レトルトごはんを買った方がコストパフォーマンスが良いのだ!
この話を聞いていた他の新入社員の子たちは、うんうん、たしかに言われてみれば…。
と、その子の主張に概ね納得しているようでした、
それに対してはるるはというと、内心では、いや、どう考えても自炊の方がかなりお得でしょ!
なんて思ってはいたものの、それをうまく説明し、納得させられるだけの根拠が見つけられず。
その場では、そうは言っても自炊の方が安いんじゃないかなぁ、くらいにやわらかめに反論しておいたわけ。
でも実際のところはどうなんだろうか、と思いまして。
そこで今回は、これについて考えてみることに。
さっそく比較方法を考えてみたんですが、ご飯を自炊した場合と、レトルトご飯を使用した場合では費用の内訳が違うため、簡単には比較できません。
そのため1gあたりの価格を比較して、どっちがお得かどうかを考えてみることに。
ご飯を自炊した場合の1gあたりの費用は、0.435円!
まずは費用を計算する前に前提条件を決めましょう。
前提条件
2016年6月現在、一般的な無洗米は5kgが1,500~1,900円前後で販売されています。
そこで今回は間をとって、5kgで1,700円の無洗米を使用することに。
また使用する炊飯器は、一人暮らしの方によく使われているであろう、3合のお米を一度に炊けるモデルとし、一度に3合炊いたケースで試算します。
炊き上がった3合のお米を何回に分けて食べるかは個人差が大きいですが、今回は1合をお茶碗2杯分。
つまり3合を6回に分けて食べることに。(1合をお茶碗2杯分とするのは、小食な方では少し多いかもしれません。)
そのためご飯を炊飯後、冷凍庫で冷凍保存しておき、6回電子レンジで加熱して食べることとします。
お米3合は153円!
お米1合は約150g。
そのため3合では、およそ450gとなります。
したがってこの条件で使用するお米代は153円(= 1700 ✕ (450 ÷ 5000))です。
お米を炊き、炊き上がったご飯を冷凍保存する費用を計算するには、さらに炊飯に使用した水道代、炊飯器や冷凍保存に使用する冷凍庫、解凍に使用する電子レンジの電気代が必要です。
水道代は1円以下!
水道代はかなりの地域差があります。
ただ3合のお米を炊くのに必要なお水の水道代は、水道代が高い地域であってもおそらくは0.1円以下でしょう。
ですが今回はかなり高く見積もって1円とします。
炊飯にかかる電気代は3.5円!
炊飯の際の電気代は、2016年のIH型3合炊きの炊飯器では、およそ3.5円だそう。
1回当りの炊飯時電気代 3.5円(0.125 × 27.9 = 3.5円)
おいしさを保つため、保温はせずに炊き上がり後すぐに冷凍庫に入れるため、保温にかかる電気代は0円とします。
冷凍庫の電気代は35円とする!
炊き上がったご飯をすぐに冷凍庫に入れた場合にかかる冷凍庫の電気代は、実際の実験結果が公開されていたので、その数字を採用します。
炊き上がったご飯の温度が70℃、そのままタッパーに入れて冷凍庫で9時間冷凍した際にかかった電気代。
積算電力量0.73kWh
積算電気料金18.9円
それによると、2合の炊き上がったご飯を熱いままタッパーに入れて冷凍した場合、18.9円かかるそう。
これが3合の場合には、1.5倍となるでしょうから、28.35円(= 18.9 ✕ 1.5)となります。
冷蔵庫や冷凍庫では、食材の温度が一旦下がってしまえば、低温状態を維持するのには、あまり電気代はかからないと言われています。
とはいえまったくゼロというわけではなく、保存期間中もドアの開け閉めにより庫内の温度が上がれば、再度冷却を行うため、もちろん電気代がかかります。
ただこれについては正確な電気代を計算できず、また資料も見つからず…。
そこで今回はこれを考慮して、冷凍庫によるご飯の冷凍保存にかかる電気代は35円とします。(うち6.65円前後を、ご飯のみの低温状態の維持にかかるであろう電気代と想定。)
電子レンジの電気代は3.375円!
最後は、冷凍したご飯の解凍の際にかかる電子レンジの電気代。
0.5合の冷凍ご飯を500Wの電子レンジで加熱した場合、熱々にするにはおよそ2分30秒の加熱が必要です。
この時の電気代を、2015年4月の電力料金目安単価(1kWhあたりの電気料金)である27円を使って計算した場合、電気代はおよそ0.5625円。
これを6回行うわけですから、3合のお米を電子レンジで加熱する場合の電気代は、3.375円(= 0.5625 × 6)となります。
ご飯を自炊した場合の1gあたりの費用は、およそ0.435円!
ここまでの計算で求まった値を合計すると、195.875円。
つまり3合のお米の炊飯、冷凍保存、解凍にかかる費用はおよそ196円である、ということですね!
今回の計算では、先にも書いたとおり3合、つまり450gのお米を使用した場合の費用を計算しています。
そのため、ご飯を自炊した場合の1gあたりの費用は、およそ0.435円となります。(≒ 195.875 ÷ 450)
レトルトタイプのご飯の1gあたりの費用は、およそ0.659円!
レンジで加熱調理するだけで食べられるレトルトタイプのご飯には、多くの製品があり、価格はピンきり。
それによりコストは大幅に変わります。
そこで今回は、レトルトタイプのご飯製品として、おそらく最も有名であろう、サトウのごはんを使用して計算することに。
このサトウのごはん 新潟県産コシヒカリ 3食パックは、2016年6月現在394円で販売されています。(大手ネットショッピングサイトの価格より。)
1食200gの3食セットなので、600gで394円となります。
そして1パックの加熱には、500wの電子レンジで2分間の加熱が必要だそう。
サトウのごはんは食べたい時に加熱すればOKのため、冷蔵・冷凍保存による電気代は発生しません。
本体の価格と電子レンジの加熱にかかる電気代1.35円(電力料金目安単価より1kwhあたり27円を使用)を足すと、395.35円。
そのためレトルトタイプのご飯の1gあたりの費用は、およそ0.659円(≒ 395.35 ÷ 600)となります。
以上の計算の結果、ご飯を自炊した方が1gあたりおよそ0.224円(0.659 - 0.435)ほど安いことが分かりました!
ここまでの計算結果を見て、ふむふむ、なるほどね~。
なんて思っていると、ふと気付いたことが。
あれ?自炊のパターンはもっと安いんじゃないの?
はるるがこう思ったのは、サトウのごはんでは水を入れていないなぁ、と思ったため。
それにより、先の比較が間違っていることに気づきました。
これはどういうことかというと、自炊のパターンでは生米1gあたりの費用を計算していました。
それに対して、サトウのごはんのパターンでは、炊き上がり後のご飯1gあたりの費用を計算していたんです。
1合(150g)のお米は炊飯すると、水を吸うことにより、およそ340gになります。
そのため生米1gあたりの費用から炊き上がったご飯1gの費用を計算するには、0.441(≒ 150 ÷ 340)をかけないといけませんでした。
この計算を反映すると、正しくは以下のとおりとなります。
自炊を行った場合の、炊き上がったご飯1gの費用はおよそ0.192円(≒ 0.435 ✕0.441)。
レトルトごはん(サトウのごはん)の場合の、炊き上がったご飯1gの費用はおよそ0.659円。
そのため、先のご飯を自炊した方が1gあたりおよそ0.224円(0.659 - 0.435)ほど安いというのは誤り。
そして正しくは、ご飯を自炊した方が1gあたりおよそ0.467円(0.659 - 0.192)安い!となります。
炊き上がったお茶碗1杯分のご飯では、自炊の方がおよそ80円安く、1/3以下の費用となる!
一般的なお茶碗1杯分のお米は0.5合、つまり生米75gです。
これを炊き上がったご飯の重さに換算すると、170gとなります。
そのため自炊を行った場合、お茶碗1杯分のお米を食べるのに必要な費用は、約32.64円。
それに対してレトルトごはん(サトウのごはん)の場合では、112.03円かかる、というわけ。
したがって炊き上がりのお茶碗1杯分のご飯では、自炊の方がおよそ80円も安いようです。
当然自炊の方が安いだろうとは思っていましたが、まさかここまでとは…。
だって3倍以上もレトルトごはんの方が高いんですよ。
そりゃあ、ビックリもします。
費用の差が大きすぎるので、自炊の方がお得である可能性が高い!
今回の試算により、自炊を行った場合、お茶碗1杯分のお米を食べるのに必要な費用は、約32.64円。
それに対してレトルトごはん(サトウのごはん)の場合では、112.03円かかるということが分かりました。
この試算では、計算が複雑になるため、炊飯器の購入費や自炊の際の洗い物の費用(水道代、洗剤代)、洗い物をする分の作業時間をお金に換算・計上していません。
これらを計算の際に考慮し、そしてもっと安いレトルトごはんを調達できれば、双方の差は縮まると思います。
ですが元々の費用の差が3倍以上もあるので、レトルトごはんの方が自炊をするパターンよりも安くなるとは考えにくいです。
そしてどちらがコストパフォーマンスが良いかについては、その差額に見合った手間の軽減効果などの付加価値が、割高なレトルトごはんにあると思うかどうかによって、判断が分かれるでしょう。
ただ、とにかく節約をしたい!
そのためには多少の手間は惜しまない!
ということであれば、自炊をした方が費用がかからずお得なのは、ほぼ間違いないはずです。